So-net無料ブログ作成
前の10件 | -

三浦しをんの「まほろ駅前狂騒曲」

まほろ駅前狂騒曲 (文春文庫)

まほろ駅前狂騒曲 (文春文庫)

  • 作者: 三浦 しをん
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2017/09/05
  • メディア: 文庫
文庫化を期待していたら随分読むのが遅くなってしまいました。多田と行天の関係性やいままでの登場人物等、読み始めはうる覚えだったのが、読み進むうちにだんだん明瞭、明解になり、すっかりはまってしまいました。
むーん、こういう本が好きなのだということを自覚しました。面白かった。
自分だけはまともな人、と多くの人は思いがちであり、それをベースに世の中をみると本書のような世界観にはまるのではないかと思うのですが、読者としては非常に心地よい。人に振り回されながら、日々、緊張感とともにメリハリのある日常を過ごせたらと思わせる。リア充を画にかいたような日常。ある種憧れます。
間引き運転を糾弾する老人たち、無農薬野菜を生産、販売する怪しげな団体、それを阻止しようとする街の有志(いずれも裏があり、一筋縄ではいかない人たち)が織りなす狂騒をバックグランドに行天の娘を預かるというメインストリーが違和感なくかみ合って物語として完成しています。
・・・とまあ理屈は抜きに面白いのでぜひ読んでみて!と薦めたくなる作品です。

nice!(16)  コメント(0) 
共通テーマ:

天野純希の「雑賀のいくさ姫」 [読書]

雑賀のいくさ姫

雑賀のいくさ姫

  • 作者: 天野 純希
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2018/11/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
天野先生といえば「風の谷の守り人」( 剣風の結衣 (集英社文庫) )でも少女が活躍する作品がありましたっけ。今回は座礁した南蛮船を接収、自らの船として世界の海で自由に生きることを夢見た雑賀党鈴木孫一の娘が主人公の話。村上水軍や島津の巴姫の誘いにのって九州侵攻をもくろむ倭寇の親玉、林鳳と戦うことになるというストーリー。
天野作品に限らず、"姫"様が主人公の場合、とにかく強く、決して負けないキャラクターが多く(読者もそれを期待している節がある)、本作もその期待に十分に応えています。混沌として先行きが見えない時代の気分にあって、こうした姫キャラが事態を打開してくれる!という話は時代が要請しているのかもしれません。
本作の登場人物、実在の人と架空の人が混在、(林鳳という倭寇の親玉は実在したらしい)その分、臨場感が増した作品になりました。
姫キャラ・・・嫌いではありません。

nice!(25)  コメント(0) 
共通テーマ:

伊東潤の「峠越え」 [読書]


峠越え (講談社文庫)

峠越え (講談社文庫)

  • 作者: 伊東 潤
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/08/11
  • メディア: 文庫

盟友として歴史に刻まれている織田信長と徳川家康の連合。織豊の時代から江戸幕府開府にいたるまで、小説やドラマで信長と家康は義兄弟のような関係で描かれていることもあって、互いの利益を前提とした信頼の上に築かれた強固な関係として認識されてきたのですが、最近はそのような解釈とは別の見方があるらしい。信長は家康を邪魔に思っていた?たしか垣根涼介さんの作品でも信長が強大化する家康を亡き者するという計画があったけ( 信長の原理 )。この見方は本書「峠越え」の方が先ですが・・・

信長からみれば家康のポジションは自身の政権構想を考えていく上で確かに邪魔な存在になったかもしれない。秀吉が家康の扱いに苦慮したように、秀吉台頭前の政治バランスから考えるといかにして取り込むか、排除するか?という発想にいたってもおかしくはない。

本書では、信長の意向を受けた”腹心”の光秀が本能寺の変を起こすことで家康を抹殺するというシナリオが描かれているが、いまだに真相明らかではない本能寺の真実を解き明かす解釈の一つとして面白いと思う。本書のシナリオを裏付ける古文書なんかが出てくる可能性もゼロではないかも・・・家康の前半生のクライマックスである伊賀越えにいたる歴史のダイナミズム、面白く読ませていただきました!


nice!(24)  コメント(0) 
共通テーマ:

畠山健二の「本所おけら長屋」シリーズ [読書]

本所おけら長屋(五) (PHP文芸文庫)

本所おけら長屋(五) (PHP文芸文庫)

  • 作者: 畠山 健二
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2015/09/10
  • メディア: 文庫
画像では65万部とありますが、シリーズ全体では100万部を突破したようです。
その評判にのっかて一冊読んでみました。
まあ、これは落語の世界ですね。長屋の住人、万松コンビを中心に人情噺的なストーリーが展開されます。ほんと誰か落語家に新作として披露してもらってもよいのではないかと思うくらい。
正直あまり期待していなかったにもかかわらず、一挙に本書が織りなす世界に引き込まれてしまいました。
1巻から読む必要はありません。ほんと落語だと思って読んでみてください。楽しめると思います。


nice!(24)  コメント(0) 
共通テーマ:

伊東潤の「野望の憑依者」 [読書]

野望の憑依者 (徳間時代小説文庫)

野望の憑依者 (徳間時代小説文庫)

  • 作者: 伊東 潤
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2017/07/07
  • メディア: 文庫
この本を読みながらかつての大河ドラマ「太平記」を思い出しました。足利尊氏を真田広之さん、弟の直義を高嶋政伸さん、高師直を柄本明さんが演じております。
どうも師直というといまだに柄本さんの顔が浮かびます・・・伊東先生のイメージは別なのでしょうが、師直の野望をはたさんとする雰囲気は柄本さんのイメージに合っているような気がします。
尊氏のぼんぼんさ加減とお兄ちゃん大好きの直義の兄弟を時代の変革者に祭り上げたのは間違いなく高師直。世間的には”悪人”ですが、歴史の善悪は見る者の評価によって変わるもの。もう少し時代が下って戦国時代に生まれていれば相当の勢力を得たかもしれません。
楠木正成とのやりとりはなかなか良かった。なぜ戦うのか?正成の存在とパフォーマンスに同類のにおいを感じつつ、その違いに葛藤する師直。シーンとしてはわずかながら本書のテーマでもあったような気がします。

nice!(22)  コメント(0) 
共通テーマ:

大沢在昌の「帰去来」 [読書]

帰去来

帰去来

  • 作者: 大沢 在昌
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2019/01/04
  • メディア: 単行本
大沢先生ファンの方だったらご存知かもしれませんが、SF的な作品はほかにもあるのでしょうか?「新宿鮫」シリーズにはまって以降、実のところあまり読んでいなくて・・・
本の帯にあるように「光和26年のアジア連邦・日本共和国・東京市」・・・パラレルワールド的なお話であり、時間軸及び歴史が微妙に異なっている世界を行き来する主人公。
新宿の闇マーケットのくだりはまさに大沢ワールドですが、ふと思ったのは、現実世界における先の大戦で日本が戦争に勝利していたら現在の東京も小説の中の東京になり得る可能性はゼロではなかったのでは?ということです。ちょっとした時間軸のズレや歪によって、今の現実が現実ではないという話もあるのかもしれない。
小説の中では、主人公の女性警察官がたくましくかっこよくふるまうことに喝采を叫びつつ、同時に違和感をもったというお話ではありましたが、パラレルワールドでなくてもいけた話のような気もしています。
受像機?って何?、読後の最大の謎ですww

nice!(19)  コメント(1) 
共通テーマ:

伊東潤の「国を蹴った男」 [読書]

国を蹴った男 (講談社文庫)

国を蹴った男 (講談社文庫)

  • 作者: 伊東 潤
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2015/05/15
  • メディア: 文庫
本書は戦国時代の有名無名の武将を主人公にした短編6作が収録されています。表題作の「国を蹴った男」は今川氏真を主人公にした作品で、蹴鞠好きの氏真が国を滅ぼした=国を蹴った、というなかなか気の利いたタイトルではあります。
そのほかの収録作品は、武田家の牢人衆のリーダー、無理之介を主人公にした「牢人大将」、石田三成と長束正家が登場する「戦は算術に候」、越後の北条毛利家(きたじょうもうり)の毛利秀広が上杉謙信没後の御館の乱で直江兼続の陰謀によって殺された話、「短慮なり名左衛門」、千利久の弟子、山上宗二が主人公の「天に唾して」などがあります。
私が面白いと思ったのは、「天に唾して」の山上宗二。豊臣秀吉に嫌われたが故に当代一流の茶人でありながら不遇をかこい最終的には滅亡直前の北条家の庇護を受け、板部岡江雪斎の依頼を受けて小田原城総攻撃を回避するための使者に立つというお話。天下人に対しても決して物おじせず己の筋を通すさまは読んでいて気持ちいい。
いずれの作品も敗者の最後の闘いを描いた作品群。敗者、負けた人がいるから歴史が成立する。そこにドラマがある!?なんてね。勝者の歴史に飽いた人にはお勧めの一冊です。

nice!(22)  コメント(0) 
共通テーマ:

池井戸潤の「アキラとあきら」 [読書]

アキラとあきら (徳間文庫)

アキラとあきら (徳間文庫)

  • 作者: 池井戸潤
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2017/05/17
  • メディア: 文庫
池井戸さんの作品は、まあ面白い。本書についても、まあ面白かったといえる作品で700ページ近くの作品でありながらちゃんと読めました。
大企業の御曹司と倒産した零細工場の息子である二人のアキラとあきら。当初は境遇の違う二人が対決する構図と思いきや最後は・・・
既に読んだ方やテレビ作品をご覧になった方もいらっしゃると思うので、無理にネタバレに配慮する必要はないかもしれませんが、これからご覧になる方々にとっては池井戸作品の終盤に向けた逆転劇への期待があるかとも思いつつ配慮・・・
時代はバブルにかけての時代。テーマとしては大規模投資に絡む話でありながら、会社の経営者や銀行の対応という点では基本構造は変わらない。無論、銀行のスタンスやパフォーマンスは今とは違うでしょうが、今回の場合、主人公側はホワイトナイト的存在。そういう意味でアキラとあきらがどう絡むのかという点が本書の流れになります。
アキラとあきらの子ども時代からの大河的流れという点でダイナミックな展開は十分に楽しめました。wowowで映像化されましたが、池井戸作品お得意のTBSでもドラマ化されるのでしょうか・・・


nice!(19)  コメント(0) 
共通テーマ:

幡大介の「大富豪同心1 八巻卯之吉 放蕩記」 [読書]


大富豪同心 八巻卯之吉放蕩記 (双葉文庫)


大富豪同心 八巻卯之吉放蕩記 (双葉文庫)

  • 作者: 幡大介
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2010/01/07
  • メディア: 文庫

文庫書下ろし系の時代小説は読みやすい、字が大きい、娯楽性が高い・・・などの特徴から人気がありますが、本書もその一つといえます。

NHKのBS時代劇で放送されたことをきっかけに手に取ったのですが、娯楽性、痛快性とちょっとコミカルに描かれた作品でなかなか読み応えがありました。実はテレビの方を先に観た後ではありましたが、原作となった本書も意外に奥深いというかち密に描かれていて、テレビ化された作品の方も原作の良さを活かしつつ制作されていることがよくかわりました。

全体のトーンとして、江戸落語、古典落語の調子なのがよいのかもしれません。まさに大富豪、正真正銘の金持ちの道楽の一環としての同心稼業・・・時代エンタテイメントの王道を行く作品かもしれません。


nice!(23)  コメント(0) 
共通テーマ:

武内涼の「暗殺者 野風」 [読書]


暗殺者、野風

暗殺者、野風

  • 作者: 武内 涼
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2017/06/01
  • メディア: 単行本

次代を担う時代小説家が得意とする忍者モノ作品。女性を主人公に据えた忍者モノはよく書かれていますが、本書のその例にもれず、主人公野風はいわゆるくノ一とは一線を画した完全無比の存在。刺客として養育され、武田信玄軍師の山本勘助から上杉謙信暗殺の依頼を受け、第四次川中島合戦が繰り広げられた川中島に向かいます。

合戦前夜にいろいろな経緯があって、野風は死を賭して合戦の場に向かうのですが、まるで白土三平の忍者劇画シリーズを彷彿とさせるものがあり、まさに劇画を読んでいるような感がありました。

背景の草木花の描写が多いこともそれぞれのシーンを映像としてイメージさせる効果があったのではないかと思っています。

謙信を守る多聞衆、越後の忍者、軒猿軍団、武田家の忍者集団三つ者などが入れ乱れ、壮絶な戦闘シーンが見せ場の一つでもあるのですが、全体の構成としては予想の範囲内に収まり、安心して読める作品となっています。

ラストシーンは次回作につながるもの。若き日の真田昌幸が登場人物の一人として主人公に若干ながら絡みがあることや時代設定的に戦国も半ばであることなどを考えると野風は次も活躍の場を得ることができるかと・・・・

乞うご期待です。


nice!(20)  コメント(0) 
共通テーマ:
前の10件 | -