So-net無料ブログ作成
前の10件 | -

伊東潤の「国を蹴った男」 [読書]

国を蹴った男 (講談社文庫)

国を蹴った男 (講談社文庫)

  • 作者: 伊東 潤
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2015/05/15
  • メディア: 文庫
本書は戦国時代の有名無名の武将を主人公にした短編6作が収録されています。表題作の「国を蹴った男」は今川氏真を主人公にした作品で、蹴鞠好きの氏真が国を滅ぼした=国を蹴った、というなかなか気の利いたタイトルではあります。
そのほかの収録作品は、武田家の牢人衆のリーダー、無理之介を主人公にした「牢人大将」、石田三成と長束正家が登場する「戦は算術に候」、越後の北条毛利家(きたじょうもうり)の毛利秀広が上杉謙信没後の御館の乱で直江兼続の陰謀によって殺された話、「短慮なり名左衛門」、千利久の弟子、山上宗二が主人公の「天に唾して」などがあります。
私が面白いと思ったのは、「天に唾して」の山上宗二。豊臣秀吉に嫌われたが故に当代一流の茶人でありながら不遇をかこい最終的には滅亡直前の北条家の庇護を受け、板部岡江雪斎の依頼を受けて小田原城総攻撃を回避するための使者に立つというお話。天下人に対しても決して物おじせず己の筋を通すさまは読んでいて気持ちいい。
いずれの作品も敗者の最後の闘いを描いた作品群。敗者、負けた人がいるから歴史が成立する。そこにドラマがある!?なんてね。勝者の歴史に飽いた人にはお勧めの一冊です。

nice!(20)  コメント(0) 
共通テーマ:

池井戸潤の「アキラとあきら」 [読書]

アキラとあきら (徳間文庫)

アキラとあきら (徳間文庫)

  • 作者: 池井戸潤
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2017/05/17
  • メディア: 文庫
池井戸さんの作品は、まあ面白い。本書についても、まあ面白かったといえる作品で700ページ近くの作品でありながらちゃんと読めました。
大企業の御曹司と倒産した零細工場の息子である二人のアキラとあきら。当初は境遇の違う二人が対決する構図と思いきや最後は・・・
既に読んだ方やテレビ作品をご覧になった方もいらっしゃると思うので、無理にネタバレに配慮する必要はないかもしれませんが、これからご覧になる方々にとっては池井戸作品の終盤に向けた逆転劇への期待があるかとも思いつつ配慮・・・
時代はバブルにかけての時代。テーマとしては大規模投資に絡む話でありながら、会社の経営者や銀行の対応という点では基本構造は変わらない。無論、銀行のスタンスやパフォーマンスは今とは違うでしょうが、今回の場合、主人公側はホワイトナイト的存在。そういう意味でアキラとあきらがどう絡むのかという点が本書の流れになります。
アキラとあきらの子ども時代からの大河的流れという点でダイナミックな展開は十分に楽しめました。wowowで映像化されましたが、池井戸作品お得意のTBSでもドラマ化されるのでしょうか・・・


nice!(17)  コメント(0) 
共通テーマ:

幡大介の「大富豪同心1 八巻卯之吉 放蕩記」 [読書]


大富豪同心 八巻卯之吉放蕩記 (双葉文庫)


大富豪同心 八巻卯之吉放蕩記 (双葉文庫)

  • 作者: 幡大介
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2010/01/07
  • メディア: 文庫

文庫書下ろし系の時代小説は読みやすい、字が大きい、娯楽性が高い・・・などの特徴から人気がありますが、本書もその一つといえます。

NHKのBS時代劇で放送されたことをきっかけに手に取ったのですが、娯楽性、痛快性とちょっとコミカルに描かれた作品でなかなか読み応えがありました。実はテレビの方を先に観た後ではありましたが、原作となった本書も意外に奥深いというかち密に描かれていて、テレビ化された作品の方も原作の良さを活かしつつ制作されていることがよくかわりました。

全体のトーンとして、江戸落語、古典落語の調子なのがよいのかもしれません。まさに大富豪、正真正銘の金持ちの道楽の一環としての同心稼業・・・時代エンタテイメントの王道を行く作品かもしれません。


nice!(23)  コメント(0) 
共通テーマ:

武内涼の「暗殺者 野風」 [読書]


暗殺者、野風

暗殺者、野風

  • 作者: 武内 涼
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2017/06/01
  • メディア: 単行本

次代を担う時代小説家が得意とする忍者モノ作品。女性を主人公に据えた忍者モノはよく書かれていますが、本書のその例にもれず、主人公野風はいわゆるくノ一とは一線を画した完全無比の存在。刺客として養育され、武田信玄軍師の山本勘助から上杉謙信暗殺の依頼を受け、第四次川中島合戦が繰り広げられた川中島に向かいます。

合戦前夜にいろいろな経緯があって、野風は死を賭して合戦の場に向かうのですが、まるで白土三平の忍者劇画シリーズを彷彿とさせるものがあり、まさに劇画を読んでいるような感がありました。

背景の草木花の描写が多いこともそれぞれのシーンを映像としてイメージさせる効果があったのではないかと思っています。

謙信を守る多聞衆、越後の忍者、軒猿軍団、武田家の忍者集団三つ者などが入れ乱れ、壮絶な戦闘シーンが見せ場の一つでもあるのですが、全体の構成としては予想の範囲内に収まり、安心して読める作品となっています。

ラストシーンは次回作につながるもの。若き日の真田昌幸が登場人物の一人として主人公に若干ながら絡みがあることや時代設定的に戦国も半ばであることなどを考えると野風は次も活躍の場を得ることができるかと・・・・

乞うご期待です。


nice!(20)  コメント(0) 
共通テーマ:

日明恩の「ゆえに、警官は見護る」 [読書]


ゆえに、警官は見護る

ゆえに、警官は見護る

  • 作者: 日明 恩
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2018/11/21
  • メディア: 単行本

潮崎警視と武本警部シリーズの最新作、といいながら前作以前の作品の内容をほとんど覚えておらずw、本作を読んで少し復習しようか、なんて思って読んだ次第。とはいえ、シリーズ初見でも十分に楽しめる内容となっています。

タイヤを重ねてその中に死体を入れて焼く、という事件が東京都内で3件立て続けに発生し、物語は始まります。この事件が本書におけるベースストーリー。同時に新宿署に暴行事件で留置された被疑者の挙動を観察する武本警部の話が進行していきます。

ベースストーリーの解決に向けて、潮崎警視とその監視役という名目で宇佐見(財務捜査官)と正木(本庁捜査一課に配属された女性刑事)の3人がチームを組んで(コミカルに・・・?)事件解決に向けて動く一方で、捜査本部の鳩羽、遠藤のチームが後半になって重要な働きをみせる・・・。

解決の糸口は武本が見つけるわけですが、解決に至るまでの展開に違和感はなく、事件の背景にある重さを潮崎チームがある程度やわらげつつ、犯罪に走らざるを得なかった人たちの心情を慮ると、少々つらい読後感・・・

装丁のしっかりした単行本の重さは内容の重さと比例してました。

お勧めの一冊です。


nice!(24)  コメント(0) 

誉田哲也の「ケモノの城」 [読書]

ケモノの城 (双葉文庫)

ケモノの城 (双葉文庫)

  • 作者: 誉田 哲也
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2017/05/11
  • メディア: 文庫
リハーサル (幻冬舎文庫) を読んだ後、この作品を読んでしまったことに後悔しています。本書に登場する主犯、従犯がもたらしたインパクトは筆舌につくし難いものがあります。

ここまで人間は残酷になれるのか?という素朴な疑問。豊かな人間性とは性善説が前提になっていると思いますが、ここに登場する人物は性善を前提とした人間性ではなく、性悪を前提としているが故の人間性=ケモノを体現しているのではないでしょうか?

子どもが虫や小動物をいじめ、場合によっては殺してしまうという感覚をそのまま引きづり続けたらこんな風になるかもしれないという展開です。

もはや常識やフツーの価値観では測り切れない何かが描かれたような気がしています。

もう一度書きます。「リハーサル」の後に本書を読むのはお勧めできません。人間不信になります・・・

nice!(21)  コメント(0) 
共通テーマ:

五十嵐貴久の「リハーサル」 [読書]

リハーサル (幻冬舎文庫)

リハーサル (幻冬舎文庫)

  • 作者: 五十嵐 貴久
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2019/02/21
  • メディア: 文庫
ああ…おぞましい...リカです。ほんと嫌な女です。
とは言え、怖いもの見たさの気持ちも手伝ってまた手に取ってしまった...
シリーズを重ねるごとに彼女のふるまいはエスカレートしているように思います。
科白の一つひとつはわざとらしく嘘くさいのですが、ある局面において聞いたことがあるようなフレーズもあって鳥肌が立ちます。
そんな経験はない?はずでありながら、リカの存在とふるまいは誰もが持っている深層のある部分を刺激するということなのでしょうか?
五十嵐先生によればまだまだシリーズは続くとのこと。読後感は嫌な気分になるのですが、また手に取る予感・・・ああ、おぞましい・・・


nice!(22)  コメント(0) 
共通テーマ:

海堂尊の「スカラムーシュ・ムーン」 [読書]

スカラムーシュ・ムーン (新潮文庫)

スカラムーシュ・ムーン (新潮文庫)

  • 作者: 海堂 尊
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2018/02/28
  • メディア: 文庫
この一連のシリーズの完結編ともいえる作品ながら、全体に漂う荒唐無稽さと本書に登場する加賀の大学院生たちの起業に至るくだりにみられるギャップが面白いともいわせるし、無理があるともいわせるという両面の性格があるような作品です。
架空でありながら現実の出来事を連想させる展開は迫力がありつつも、本音を言えば大学院生たちの奮闘ぶりを中心にした作品でもよかったのではないかと思いました。
問題提起型の作風である海堂さんの作品である以上、いろいろな要素を絡める必要があったのでしょうが、シリーズの構成を考えればやむを得ないというところでしょうか?
ぶっちゃく楽しく読めましたが、最近、先生が進めているゲバラ作品は未読。読み応えのある作品を世に多く出してきただけに興味があります。
チャレンジしてみようかと思っています。

nice!(22)  コメント(0) 

島田荘司の「鳥居の密室 世界にただ一人のサンタクロース」 [読書]

鳥居の密室: 世界にただひとりのサンタクロース

鳥居の密室: 世界にただひとりのサンタクロース

  • 作者: 島田 荘司
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2018/08/31
  • メディア: 単行本
島田荘司さんの作品、久しぶりに読みました。書下ろし作品です。
島田ワールド全開、新本格派の面目躍如たる作品ですね。若き日の御手洗(京大時代)が登場(本書を手に取った時、あっ、島田先生の新作だ!という理由だけで中身を確認しなかったので、読み進めてすぐに少々びっくりでした)。
謎解きは極めてオーソドックスでありますが、主題は犯人とされた青年の深層と行動にあります。なぜ彼は思い行動したか・・・舞台になる鳥居、実在してますよね。ちょっとその辺の驚きもありました。
島田さんの作品としては短いほうだと思いますが、かなり深く重い印象を持ちました。
お勧めの作品です。

nice!(20)  コメント(0) 
共通テーマ:

佐藤正午の「鳩の撃退法」 [読書]

鳩の撃退法 上 (小学館文庫)

鳩の撃退法 上 (小学館文庫)

  • 作者: 佐藤 正午
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2018/01/04
  • メディア: 文庫
鳩の撃退法 下 (小学館文庫)

鳩の撃退法 下 (小学館文庫)

  • 作者: 佐藤 正午
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2018/01/04
  • メディア: 文庫
直木賞受賞作家が主人公の本書、小説の中の現実と小説としてのフィクションが入り交じり、ぼーっとしていると混乱してしまう作品です。
正直、この小説の主人公であり、”書き手”でもある津田というおっさん、あまり好きではありません。本の中でも変人扱いされている描写が多々出てきますが、面倒くさい、という表現がもっともあっているような気がします。
ただ、この性格というか精神面でのタフさ、図々しい態度は世の中を生きる上で必要な能力?であり、私にないものをもっているという点でうらやましい気もします。
タイトルの鳩って何?ということなのですが、正直、読了してみてわかったようでわかっていないのかもしれないのですが、まあ、面白かったような気になったから不思議です。
面倒くさいセリフ、展開なので、精神状態がよろしいときにお勧めの作品です。

nice!(13)  コメント(0) 
共通テーマ:旅行
前の10件 | -