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梓澤要の「光の王国 秀衡と西行」

光の王国 秀衡と西行

光の王国 秀衡と西行

  • 作者: 梓澤 要
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2013/11/12
  • メディア: 単行本
奥州藤原氏三代目の藤原秀衡と歌人として有名な西行のお話です。西行は、俗名佐藤義清(さとうのりきよ)といい、秀郷流藤原氏の流れを組む武士。同じ秀郷流を遠祖と称する奥州藤原氏とはいわば遠い親戚同士なのですが、本書では、その事実を知らずに、時の権力者藤原頼長から奥州藤原氏の動向を探るべく平泉に派遣されたことになっています。双方が同祖であることを知るのは、平泉で秀衡と関わることになってから。西行は二度に渡って奥州藤原氏の本拠地である平泉を訪れたのは史実のようで、本書はその史実をベースにしたものです。
物語は奥州藤原氏二代目の藤原基衡が当主の時代。西行、秀衡ともに二十代の若者。初代清衡が開府した平泉は発展途上のさなかにあり、理想郷の実現に向けて活気あふれる街の喧噪のなか、若き秀衡と西行の日々が描かれています。
藤原秀衡といえば奥州藤原氏最盛期を築いた人。北方の王者といわれ、ドラマなどでも何度か登場したことがありますが、その多くはいずれも晩年(源義経との関係性によって登場することから)の御姿。滝沢修、萬屋錦之介、高橋秀樹や渡瀬恒彦、ちょっと変わったところでは京本正樹というのもありましたが、二十代のはつらつした感のある若武者秀衡は初めて。テレビや映画になったら誰が演じるのか気になります。
理想郷、ユートピアとして描かれている平泉。それを舞台にした本書はある種のファンタジー作品ともいえるかもしれません。

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朱川湊人の「幸せのプチ - 町の名は琥珀」 [読書]

幸せのプチ ――町の名は琥珀

幸せのプチ ――町の名は琥珀

  • 作者: 朱川 湊人
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2016/11/09
  • メディア: 単行本
プチというのは犬の名前です。もっとも野良犬なので本当のところはわかりません。人によっては別の名前で呼んでいるかも・・・という感じです。
プチは都電が走る下町、琥珀という町に住んでいます。どこからともなく現れ登場人物たちをいやしてくれますが、時には登場人物を守るため体を投げ打って他の犬と戦ってくれたりもします。
もっともプチは年齢も性別もわかりません。保健所に連れていかれたりしたのですが、なぜか殺処分されずに“釈放”されるなど、その存在は謎です。
本書は琥珀という町を舞台にした連作集なのですが、各短編同士のつながり(店の名前や登場人物、風景など)が読んでいて安心するというか、「あ、その人知ってる!」的なささやかな楽しみがあります。
プチは物語全体の落としどころに導く水先案内人(登場シーンは決して多くないです)みたいな存在で描かれていますが、物語を左右する存在でもあります。
なんかほのぼのした感じの読後感。ストレスがたまっている人には心穏やかにしてくれる作品、お奨めの一冊です。


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磯田道史の「司馬遼太郎で学ぶ日本史」 [読書]

「司馬遼太郎」で学ぶ日本史 (NHK出版新書 517)

「司馬遼太郎」で学ぶ日本史 (NHK出版新書 517)

  • 作者: 磯田 道史
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2017/05/08
  • メディア: 新書
新進気鋭の歴史学者(もうそろそろ中堅かな?)、磯田先生の著作です。
歴史小説の大家、司馬遼太郎の作品群を通じて、「司馬史観」とも称される司馬遼太郎の戦国から明治、昭和に至るまでの歴史に対する見方や評価について、歴史学者の観点から評論したものです。
自身が司馬の小説のファンであるということから、その視点は好意的解釈に終始していますが、明治から昭和に至る異常な時期(戦争に突入していった時期)に、なぜそんなことになってしまったのか?という原因を追及、分析する内容は読ませるものがあったと思います。
日本の歴史のみならず日本人論としての評論としても面白い内容になっているかと。もう一度読み返したい作品です。勉強になります!


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吉川永青の「裏関ヶ原」 [読書]

裏関ヶ原

裏関ヶ原

  • 作者: 吉川 永青
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/12/07
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
私事で年末から年始にかけていろいろあり、碌に本も読めませんでした。したがってブログの更新もほぼ1か月ぶりとなります。
精神的に不安定で集中できないことから長編は込み入った内容の本は読めないと判断。現実逃避、かつ短編または連作集ということで手に取ったのが本書です。
全体の構成としては「関ヶ原シリーズ」のようなもの。関ヶ原をテーマにその時代を生き抜いた武将たちの物語。黒田如水、佐竹義宣、細川幽斎、真田昌幸、最上義光、織田秀信らの生き残りをかけたエピソードが描かれています。
いずれもさまざまな作品で取り上げられている人たちばかりですが、エピソードの切り取り方ひとつで書きつくされた感のある人たちの物語が新たな拡がりをみせていることがわかります。もっとも佐竹義宣のエピソードは初見。本書のような企画がなければ知り得ない(むろんフィクションでしょうが)物語に、なるほど!と感心した次第です。

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夢枕獏の「瀧夜叉姫-陰陽師」 [読書]

陰陽師―瀧夜叉姫〈上〉 (文春文庫)

陰陽師―瀧夜叉姫〈上〉 (文春文庫)

  • 作者: 夢枕 獏
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2008/09/03
  • メディア: 文庫
陰陽師―瀧夜叉姫〈下〉 (文春文庫)

陰陽師―瀧夜叉姫〈下〉 (文春文庫)

  • 作者: 夢枕 獏
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2008/09/03
  • メディア: 文庫
ご存知、安倍晴明シリーズの長編作品です。
平将門と藤原純友の承平天慶の乱をベースにした物語です。キーになるのは藤原純友なのですが、それは読んでのお楽しみ。日本国史上、最強の怨霊として恐れられている平将門。その将門が実にわかりやすく現世(作品上の同時代=平安朝)に仇をなす。将門を討った俵藤太(藤原秀郷)や平貞盛らを襲う謎の娘と黒水干を着た男。百鬼夜行が都を闊歩する・・・
晴明シリーズ独特の世界観が織りなすファンタジー、ミステリー・・・まさに現世を忘れて楽しめる作品です。

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五十嵐貴久の「SCS ストーカー犯罪対策室」 [読書]

SCS ストーカー犯罪対策室 上

SCS ストーカー犯罪対策室 上

  • 作者: 五十嵐 貴久
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2017/02/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
SCS ストーカー犯罪対策室 下

SCS ストーカー犯罪対策室 下

  • 作者: 五十嵐 貴久
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2017/03/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
五十嵐さんの代表作の一つに「 リカ (幻冬舎文庫)」があります。衝撃だったなぁ。
追われるものの恐怖がよく表現されていました。テレビ化もされ、浅野ゆう子がリカを演じたのですが、これも秀逸。続編も発表され、かなり凄惨なラストにショックを受けました。
本作はリカのような異常犯罪とは異なりますが、ストーカーという点で本質的には同じ。主人公の女性刑事もストーカー行為を受けつつ、さまざまな事案を解決していきます。
主人公のストーカー犯罪の真相は下巻の最後に明らかになりますが、「リカ」を彷彿とさせる展開。
五十嵐作品の面目躍如といった感のある作品です。

タグ:ストーカー
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東野圭吾の「ウィンクで乾杯」 [読書]


ウインクで乾杯 (ノン・ポシェット)

ウインクで乾杯 (ノン・ポシェット)

  • 作者: 東野 圭吾
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 1992/05/01
  • メディア: 文庫

最近は二時間ドラマのサスペンスを“2サス”というらしい。

本書はその2サスの原作としてはぴったりの作品。美人?で可愛い?女性主人公。最初は自殺と思われた展開が殺人事件に発展、途方に暮れてると思いきや現場で知り合った刑事を事件を解決に導く・・・昨今、刑事物やサスペンス物はリアルでシリアスなものが多い中で、こうした原作はちょっとした売れっ子女優を主人公に、かつイケメン系の若手男優を配してドラマ完成!という感じかな。

もっとも本書が書かれたのはバブルの雰囲気が残っている時代。世の中の雰囲気はこうした作品を求めていた時代であり、いちいち細かいところをあげつらってもしょうがない。東野さん的には書いても書いても評価されない暗黒の時代だったようでもあり、時代に雰囲気に乗って書いた作品かも?

本作のノリは、近年の「 マスカレード・ホテル (集英社文庫)」シリーズに通じる部分もあり、それはそれでそのベースであることを考えれば良しとしますかね。


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奥田英朗の「ウランバーナの森」 [読書]

ウランバーナの森 (講談社文庫)

ウランバーナの森 (講談社文庫)

  • 作者: 奥田 英朗
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2000/08/10
  • メディア: 文庫
避暑地軽井沢で過ごす“ジョン”が主人公です。ジョンは英国人でリバプール生まれ。知る人ぞ知るミュージシャンであり、スターでもありますが、軽井沢で過ごしている彼は一部の人たちを除いて気づかれていない。物語はそんな日本で過ごす4回目の夏、ちょうどお盆のころのお話です・・・
便秘、幻覚、そして幽霊・・・なんとなく主人公のジョンはあいつか!と思いつつ(もっともこれはあくまでも奥田先生が創作したフィクションであります)、彼のジョンが便秘を起点に苦しむさまは非常にほほえましいというか、本当にそんな夏を過ごしていたら面白かっただろうな、なんてニヤニヤしながら読んでました。
また、ジョンの治療にあたる精神科医?心療内科医のキャラクターもよい。他の書評をみるとこのキャラクターが後の伊良部シリーズにつながった?という説もあるようですが、それもうなずける話。なかなかよいキャラでした。
タイトルの「ウランバーナ」とは・・・これは本書の展開、物語の本筋に関わることなのでここでは控えますが、いずれにせよ、ラストがスッキリ!としたものであったことは良かった。本物のジョンは悲しい最期を遂げますが、本書に登場したジョンのような感じで今も生き続けていてくれたらな、なんて思ってしまいました。
面白かったです。

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佐藤雅美の「敵討ちか主殺しか ~物書同心居眠り紋蔵」 [読書]

敵討ちか主殺しか 物書同心居眠り紋蔵

敵討ちか主殺しか 物書同心居眠り紋蔵

  • 作者: 佐藤 雅美
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/06/21
  • メディア: 単行本
歳を重ねるごとにこうした作品の面白さがわかってきたように思います。江戸時代の話ではありますが、居酒屋を起点に気心のしれた仲間たちと問題を解決していくというシーンはなんか良い。
主人公である紋蔵さんの存在感はそれなりにあるのですが、物語によっては紋蔵さん抜きで進むこともあり、それが後日報告される・・・日常がそこにあるといった展開は心が和みます。
普段、ストレスや落ち込んでいる人にとって当シリーズはそのもやもやした気持ちを和ませるサプリ的作品。お奨めのシリーズです。

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堂場瞬一の「奪還の日-刑事の挑戦・一之瀬拓真」 [読書]

奪還の日 - 刑事の挑戦・一之瀬拓真 (中公文庫 と)

奪還の日 - 刑事の挑戦・一之瀬拓真 (中公文庫 と)

  • 作者: 堂場瞬一 著
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2017/04/21
  • メディア: 文庫
また読んでしまいました。「 特捜本部 - 刑事の挑戦・一之瀬拓真 (中公文庫)」の続編。時間軸もその1年後という形になってます。このシリーズ、小気味よい感じで読みやすいし、面白い。アナザーフェイスシリーズの大友鉄さんが主人公の一之瀬に電話で話す、というシーンが登場。また、鳴沢了さんが伝説の刑事として噂話として語られるという特典付き。小説の中、同時代で進行しているシリーズとなっています。
そのうち高城さんなども話に出てきているので、これはいつかコラボする可能性大・・・読者の関心を引っ張りつつ買わせる作品か?
文庫本描き下ろしシリーズとして今後も続々発刊予定らしいので、その辺も期待しつつ次回作を待ちたいと思います。


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