So-net無料ブログ作成
検索選択
メッセージを送る

山本兼一の「夢をまことに」 [読書]

夢をまことに

夢をまことに

2014年に亡くなった山本兼一さんの作品。山本さんが得意とする職人のお話です。主人公は国友一貫斎。名字からもわかるように主人公は鉄砲鍛冶職人です。
江戸も後期になると鉄砲の注文は少なくなり、国友村の鉄砲鍛冶も仕事がない状態。そんな中、新しい発想とバイタリティで時代を生きた職人のお話です。日本初の空気銃の製造万年筆や反射望遠鏡、潜水艦、飛行機・・・と一貫斎の興味は尽きることがなく、それらの製品を実際につくり、夢の実現に奔走します。
常に前向きであきらめることを知らない一貫斎。読んでいて元気をもらえます。
お勧めの一冊です。 
 
 

nice!(25)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

鳴海章の「全能兵器Aico」 [読書]


全能兵器AiCO

全能兵器AiCO

 
 
 
 
 
Aicoとは無人のステルス戦闘機に搭載された人工知能です。航空自衛隊のベテラン操縦士の経験とノウハウをベースに究極の戦闘能力を身に付けた最終兵器。
本来は中国やロシアのステルス戦闘機に対抗する意味で研究がつづけられていた技術、日本でも心神というステルス戦闘機が試験飛行の段階までたどりつきましたが、これに搭載するコンピュータ、頭脳として開発された技術が、新大東亜共栄圏を模索する一派により悪用の危機にさらされてしまうというお話。
人工知能としてAicoが自ら学習し、進歩していくことで制御不能に・・・とネタバレの話になってしまうので、あとはお読みくださいね。
本書の内容はほぼ同時代、現代の話です。新大東亜共栄圏は従来の国家という枠組みから外れた形で計画された陰謀。ないことはない、と思わせる展開。いわば現在の体制や枠組みをリセットする試みであるともいえます。そういう意味で大変リアリティのある話であり、恐ろしくもある。
ある種のシミュレーション小説ですな。それにしても戦闘機他の解説センテンスの分かりにくいこと・・・戦闘機オタクでない人にはつらい本です。 


藤沢周平の「天保悪党伝」 [読書]


天保悪党伝 (新潮文庫)

天保悪党伝 (新潮文庫)


最近、出張続きで移動中にたくさん本が読めると思いきや、座席について本を開いたとたん睡魔が襲い・・・ということで、予定していた本を消化できず、気が付いたら年末となってしまいました。
さて、そんな中でなんとか読破できた一冊が本書。あの悪名高い河内山宗俊の屋敷に出入りする連中がしでかすさまざまなエピソードを連作集の形でまとめられています。
藤沢先生の手に係ると「悪人」と呼ばれる人々もかっこよく思えてくる。いつの間にか感情移入してしまう・・・なんといっても悪人を書かせたら天下一品の作家ですからね。
悪人伝といいながら天保人情伝ともいうべき作品です。 
 

nice!(16)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

堂場瞬一の「共犯捜査」 [読書]

共犯捜査 (集英社文庫)

共犯捜査 (集英社文庫)

 
 
 
 
 
どうも最近、ついていない感じがしてます。昨日などついてないことが頂点に達し、犬の〇〇踏んだり、家に吊るしてあったフックが折れたり、持っていかなければならなかったものを忘れたり・・・信号の変わり目や電車で目の前の席が空いたり、小さな幸せを感じることが多かったこの一年でしたが(俺ついてるかも?!)、残りあと1ヵ月少々を残して、今までのつけが回ってきたような気がしている今日この頃です。
という個人的なことはともかく、堂場瞬一の「共犯捜査」です。本書は、「検証捜査 検証捜査シリーズ (集英社文庫)」からスタートしたシリーズもの。第2弾の「複合捜査 (集英社文庫)」に続く3作目です。
福岡で起きた誘拐事件の顛末を描く本書は、前2作に比べるとカーチェイスや銃撃などあって刑事モノの王道路線。とはいっても事件は複雑で犯人側の事情が幾重に絡み合った本格派の作品とも言えます。
主人公がコンビを組んだ女性刑事の思わせぶりなシーンが必要だったかどうか?という突っ込みどころはありますが、前2作でチームを組んだ連中がサポートする展開はシリーズものならではの楽しみがあります。チームのメンバーで独立した作品になっていないのは大阪北海道の二人。続編が楽しみです。 
 


nice!(26)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

佐々木譲の「ベルリン飛行指令」 [読書]


ベルリン飛行指令 (新潮文庫)

ベルリン飛行指令 (新潮文庫)

 
 
 
 
 
昭和15(1940)年、零式艦上戦闘機(ゼロ戦)がドイツ、ベルリンに飛来!・・・・戦後、F1に初参戦を果たしたホンダエンジニアがその噂を聞きつけジャーナリストに取材を依頼した・・・物語はこうして始まります。ホンダのエンジニアはゼロ戦のエンジンの改良に携わった経験があり、ゼロ戦のドイツへの飛来という突拍子もない噂に大きな関心を寄せたのでした。
最初はルポルタージュ的に始まる本書は、一気に昭和15年、日独伊三国同盟の時代へと遡ります。英国本土攻撃が予定通り進まないのはドイツの戦闘機の航続距離が短いことなどがその原因として、新しい戦闘機の開発を検討していたところ、同盟国日本で最新鋭の戦闘機が開発され、中国戦線ですばらしい成果をあげたという情報がヒトラーの耳に入ります。
ヒトラーはゼロ戦をドイツに移送し、もし性能がかなうのであればドイツでのライセンス生産も視野に入れた計画を立案します・・・
いわゆる第二次世界大戦直前のお話。ヨーロッパ戦線、中国戦線が開戦状態にあり、日独伊三国同盟が成立した直後の世界情勢にあって、台湾、インドネシア、中国、インド、イラン、イラク・・・さまざまな事情、国情にあった国々のエピソードを交えながらゼロ戦がいかにしてベルリンまでたどり着いたのか?戦闘機乗りでありながら戦争を嫌い、無謀ともいえる計画に乗った主人公とその部下の記録に残らないエピソードです(フィクションですが)。日本軍が中国での重慶爆撃や南京攻略の際に多くの市民を機銃掃射した際、戦闘に参加していた主人公の戦闘機の機銃が故障、弾が出なくなったという理由で現場を回避した主人公の「(殺戮という)蛮行と(成功の見込みのないドイツへのセロ戦移送という)愚行をどちらか選べといわれたら、私は迷うことなく愚行を選びます」と言い切った主人公のセリフ が印象に残ります。
主人公を取り巻く家族やその友人たち、インドのマハラジャと日本のスパイ、イギリスの圧迫に耐えかねゼロ戦にイギリス空軍の攻撃を依頼したイラク軍大佐・・・単なる冒険談ではなく、それぞれの国の当時の時代や植民地支配や経済戦争にまつわる話・・・広大で深みのある小説でした。お奨めの一冊です。 

nice!(23)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

ジェフリー・ディーヴァーの「007白紙委任状」 [読書]


007 白紙委任状 上 (文春文庫)

007 白紙委任状 上 (文春文庫)

再読です。単行本の時にも読んだのですが、その時はあんまり本書の面白さが分からなかった、というかスパイの気持ち?に感情移入できなかったという感じでしょうか?
007シリーズの新作ではありますが、イアン・フレミングの一連のシリーズとは異なり、その時の旬の作家等が新たに書き起こしたもの。シャーロック・ホームズの新作が出るようなものですね(シャーロック・ホームズの場合は作家の審査が厳しいようですが)。
ジェフリー・ディーヴァ―といえばリンカーン・ライムシリーズでおなじみの作家。小さなものをコツコツを積み上げて犯人を追い詰めるという作風の人なので、007のジェームズ・ボンドとは対極にあるような感じもするのですが、むしろ本作の方が現実のスパイ、諜報活動に近いのでは?と思わせる展開です。007の映画シリーズのような派手で華麗なアクションよりは、真相に迫る段取りが地味ながら納得感のあるもの。ジェフリー・ディーヴァ―版の方が今の時代に生きるスパイ、という印象を受けました。
もちろんMやQ、それからボンドガール、そしてボンドカーなど押さえるところはちゃんと押さえていて、読んでいて頭の中にはちゃんとテーマ音楽が流れます。
ちなみに本作における後半部分でボンドが操るボンドカーはなんとスバル・インプレッサのWRC仕様でした!ボンドさん、気に入ったようです(作品の中だけど)。 


nice!(22)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

村上龍の「オールド・テロリスト」 [読書]


オールド・テロリスト

オールド・テロリスト

 
 
 
 
 
本書を一言で表すとしたら、「閉塞した現代日本を憂えた老人たちが立ち上がった!」ということでしょうか?これだけ書くとなにやら底の浅い小説のようにも思えますが、現代の閉塞感というものは考えようによっては相当なものであり、その状況をなんとか打開しようとする気持ちはよく大いに同意するところです。
しかしながらその手段がテロ?ということになると話は違ってくる。「決してテロは許さない」という政治的コメントや思想信条、民族や宗教間の対立といったことではなく、つまり理性的なものではなく、全く突然に無慈悲に、無差別に人が殺されるということにおいて少なくとも私自身は耐えられないだろうと思っています。
そうした気持ちや混乱を生むことがテロの効果なのでしょうが、いくら自分の主張を通そうとしても手段としてのテロはあり得ないのではないか?
本書の主人公であるセキグチという人物に対しては世代的にも、生き方そのものについても相当気持ち的にだぶるところがあって、彼のテロ遭遇後の情けない行動に(おそらくはPTSD?)大いに同情しつつ、物語的には「もっとしっかりせい!」と叱咤しつつ読み進めたのですが、実際にテロにあったらそんなもんだろうというのが正直なところ。全く用をなさない人間に成り下がってしまう自分を本書の中にみてしまいました。
テロリストの老人たちはそんな気持ちなど凌駕し、目的のためにまい進するわけですが、私にはとてもとても・・・それにしてもテロリストたちが描いた日本におけるテロの実行による影響は何とも計り知れず、また、いとも簡単にできそうだというところも妙に納得、怖さを感じてしまいました。
ホント、主人公セキグチにまったく同情、入り込んでしまったため、読後感は最悪の精神状態でした。 
 


nice!(25)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

柴犬テツ 永眠 [日記・雑感]

NEC_0025.JPG

実家の老父の遊び相手だった柴犬のテツが今朝ほど永眠いたしました。8歳でした。悪性腫瘍による多臓器不全、気が付いたら手遅れの状態でした。実家周辺、近所では脱走犬として有名で、多くの方々にお世話になりました。警察で一晩お世話になったことも。年に数度しか会うことはありませんでしたが、私が教えたエサやりルーティンを数か月から半年の間隔をおいても忘れることなく繰り返す様はワンパターンであるにもかかわらず私自身の気持ちも和ませてくれました。最期に立ち会うことはできませんでしたが、 まるで眠っているかのような穏やかな姿だったということでした・・・写真は4歳のとき、今彼思えば一番元気、暴れん坊だったときのもの。あのまとわりつく感触、甘噛みの痛さ、リードを引っ張られる感覚・・・いまだに残っていて・・・残念、無念です。 


nice!(17)  コメント(6)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ペット

安部龍太郎の「義貞の旗」 [読書]


義貞の旗

義貞の旗

 
 
 
 
 
南北朝時代の話といえば太平記です。主な登場人物として、後醍醐天皇、楠木正成、足利尊氏、北畠顕家などが挙げられますが、鎌倉幕府討幕の最初の頃の功労者といえば新田義貞でしょう。本書はその義貞の一代記。討幕から一度も裏切ることなく南朝側の武将として戦った新田義貞のほぼ一生分も物語となっています。
南北朝の時代は敵味方入り乱れての乱戦の時代。今日の味方は明日の敵といった感じ。あの足利尊氏、直義の兄弟ですら一時的に仲たがいしたこともあるという何とも複雑な時代でありました。
そんな中、南朝側に一身をささげ最後まで戦った新田義貞という人物はその後の武士道や皇室への尊崇の念という観点からするとなかなか立派な人だったと思うのですが、楠木正成のような武将としての華やかさや足利や高一族のような政権を奪取するという派手な動きの中にあって、地味な存在として私には認識されてきました。
あくまでも小説という前提ですが、本書に描かれた新田義貞は親分肌で魅力的人物。正直、最後まで違和感がぬぐえなかったものの、彼の討幕から彼自身の最期の至るまでの活躍は追うことができ、認識を新たにしたところです。
義貞側からみると足利兄弟もかなりの曲者。足利尊氏=真田広之というイメージの私にとってはキャスティングを変更しなければならないほどの衝撃を受けた次第です。 


nice!(23)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

中山七里の「総理にされた男」 [読書]


総理にされた男

総理にされた男

 
 
 
 
 
総理大臣を父に持つ息子がひょんなことから父親と入れ替わって総理大臣を“演じる”というお話、民王 (文春文庫) という本がありました。テレビドラマにもなってなかなか面白いお話だったのですが、本書もある意味、同じようなモチーフの作品と言えるでしょう。
現役の総理大臣の物まね、といっても容姿そのものが似ているという役者が、本物が病気の間、身代わりを演じるというストーリー。国会議員であれ、総理大臣であれ、元はただの人。とはいえ、政治家を目指してその職に就くということと、ノンポリの人間が現役の総理大臣の職務をまっとうできるかといえば、そうは問屋が卸さないのは容易に想像がつきますが、本書の主人公はなぜかこなしてしまう。官房長官と主人公の友人である政治学者がサポートしているとはいえ、なぜにこうも身代わりを演じ続けられるのか?という疑問は物語の冒頭からの疑問ではあります。
が、身代わり総理のパフォーマンスや考え方は、今の不満だらけの現実の政治にもやもやしている人にとっては明解で喝采すら送りたくなるような気持ちのよいものです。
ある種、現実の政治における矛盾やアンタッチャブルな問題に対し、こうやったらすっきりするのに・・・というシミュレーション小説のようでもあります。
政治家としてのパフォーマンス、考え方、思想・信条に違和感を持つ読者もいるかもしれませんが、ある意味、理想的ともいえる政治家の姿が描かれているのは間違いありません。まあ最後にNHKのデータ放送で信任をとったくだりは笑えましたが・・・ 
 


 


nice!(24)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ: