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宮部みゆきの「希望荘」 [読書]

希望荘

希望荘

「誰か」、「名もなき毒」、「ペテロの葬列」等、一連のシリーズの最新作です。もう読んだ方も多いかと思いますが、杉村三郎が主人公の最新作、待ってました!という感じです。
このシリーズの面白さ、実はドラマ化されるにいたってその頂点を極めたような気がしています。原作本の面白さがあってのことなのはいうまでもありませんが、小泉孝太郎演じる杉村三郎のイメージは私にとってはピッタリはまったという感じで、周りの登場人物のキャスティングも良かった。
無論、ドラマなので演出家を始めとするスタッフがきちんと作りこんだことが良かったのかもしれませんが、原作本の世界観を見事なまでに映し出したのは素晴らしかった。
よって本作についても同じスタッフ、キャストによる映像化をお願いしたい、と思いつつ読んだ次第。残念ながら義父役の平幹二朗さんはお亡くなりになしましたが・・・・原作本からドラマの新作を期待するというのも変な話かもしれませんが。

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上田秀人の「竜は動かず-奥羽越列藩同盟顛末」 [読書]

竜は動かず 奥羽越列藩同盟顛末 上 万里波濤編

竜は動かず 奥羽越列藩同盟顛末 上 万里波濤編

竜は動かず 奥羽越列藩同盟顛末 下 帰郷奔走編

竜は動かず 奥羽越列藩同盟顛末 下 帰郷奔走編

  • 作者: 上田 秀人
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/12/07
  • メディア: 単行本
幕末の奥羽越列藩同盟関係の書籍は何作か出ていますが、仙台藩の玉虫左太夫にスポットを当てた著作は初めてではないでしょうか?もっとも玉虫左太夫とはそもそも誰?なる人物は誰?というところから言及すべきでしょうか?
妻の死をきっかけに仙台藩を出奔、江戸に出て林復斎のもとで学びながら林のネットワークの中で多くの人と交誼を結び、ついには日米修好条約の批准使節団に同行するまでになった人物。帰国後は仙台藩に召し出され、藩校の指南にまで出世するものの、幕末の動乱の中で主家を守るために奮闘、大槻磐渓とともに奥羽越連判同盟の成立にかかわり、軍事局副頭取の役職を得る。仙台藩降伏の後は主家をたぶらかし新政府に楯突いた責任を問われ切腹してその人生を終えた・・・
とまあ、こんな略歴ではありますが、尊王攘夷という大義名分の政治的対立のあおりをくらって失意の人生をおくってしまったという不遇の人といえましょう。彼はアメリカという国を実際にみて当時の日本にはない活力とその背景にある仕組み、社会を体感しました。また帰国の際には欧州各国の植民地の惨状を目の当たりにし、このままでは日本も同様になるとの危機感をいだきます。
勝海舟、久坂玄端、坂本竜馬等、幕末きっての人物たちと会い、これからの日本について議論を重ねますが(むろんフィクションでしょうが)、何かかみ合っていない。日本国内の目の前の勢力争い、権力闘争の大義名分と海外での経験から日本を俯瞰してみようとした玉虫の視点は全く交わっていなかったのではないか?それは硬直化した仙台藩や奥羽越列藩同盟の中でも同様で、玉虫の想いとは別次元で交わされるステージの中で結果として中途半端にならざるを得なかったということではないかと思います。
いずれにせよ、今まであまりスポットの当たらなかった人物を主人公に据えた本書は今までにない幕末ものとして楽しめました。欲をいえば帰国後からの展開に重きをおいても良かったのでは?なんて思いました。


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真保裕一の「脇坂副署長の長い一日」 [読書]

脇坂副署長の長い一日

脇坂副署長の長い一日

たった一日の出来事ながら、密度の濃い内容と言えます・・・とは言いつつ昨夜読了したのですが、もう一度読まないとなっ、と今思ってます。
物語の進行に合わせて時刻が表示されているのですが、「長い一日」というタイトルに引っ張られて読む側が煽られているような錯覚に陥り、内容を吟味するヒマもなく文字面を追っていってしまった感があります。アイドルの一日署長イベントの際にある種の事件が起きるのですが、その事件の背景や遠因を巡ってさまざまな登場人物がなぞの行動を引き起こす・・・ラストでその真相は明らかになるのですが、事件を追う側の動機なりモチベーション・・・こいつら絶対許せない的なものがよく伝わってこなかった(読み込めなかった)感じです。
ゆえにジェットコースター小説なのでしょうが、本作の面白さを見極めるには再読が必要と考えている次第です。しかし、あんな終わり方で主人公の脇坂副署長の将来が気になりました・・・警察組織内で二大派閥を敵に回して大丈夫なのでしょうか・・・なんてね。

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池井戸潤の「陸王」 [読書]


陸王

陸王


池井戸節全開の本作、楽しませていただきました!

今回の舞台は創業百年の伝統を持つ足袋製造業。目の付け所がなかなかですな。「下町ロケット」や「空飛ぶタイヤ」もいわゆる中小企業ですが、大企業に対する中小企業であって、モノづくりの会社としては規模も大きいと感じていました(正真正銘の中小零細しか経験の私にとっては・・・という意味ですが)。

小説としての組み立ての観点からみれば、下請け、孫請けという構図としての面白さはありましたが、本当の意味での会社の体力とかを考えると、ある種“贅沢”な闘いともいえなくはなかった。むろん人間ドラマとしての面白さが本質なので、作品自体を否定するつもりは全くありません。

さて、本作ですが、そういう意味では年商1億円にも満たない会社が新規事業に向かって突き進むというドラマに加え、駅伝、マラソンという要素を組み入れながらの展開は、ある意味面白くないはずはない!という作品です。

今回の場合、世界的にも大手であるスポーツ用品メーカーが主な敵役となりますが、今までの作品と比べると非常にわかりやすい相手であり、少々、露骨すぎるきらいがあったのが鼻についたかな。

むしろ、味方の側にいながら主人公の会社を支援できない・・・という角度の方が、物語としての現実味をより高めたような気もします。

いずれにせよ、さまざまな人たちが事業立ち上げに奔走する中で身につまされる部分もあり(一度会社をつぶしたものは会社をつぶす癖がつく、というくだりは痛っかった)、物語は究極の理想の展開ではありながら、リアリティのある話に引き込まれた次第です。

ラストはハッピーエンド。地元金融機関との最後のやりとりは痛快でした(私も一度ああいうことを銀行さんに言ってみたいものだと思いました)。これもテレビ化されるのでしょうかね。それはそれで楽しみです。



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垣根涼介の「室町無頼」 [読書]


室町無頼

室町無頼


面白かったです!!

恐らく日本史上、もっとも混乱した時代、無政府状態にあってそれまでの価値観や秩序が崩壊した室町中期から後期にあって、歴史書にはほんの少し触れられている程度の存在だった人物たちを活写した本書はそのスケールの大きさから、大げさにいえばスターウォーズエピソードⅣだな)に匹敵するかのごとく作品だと思います。

青年、吹き流しの才蔵の成長物語を軸に(この流れはルークとヨーダのようです)、骨皮道賢、蓮田兵衛の両巨頭の大胆にして不適であり、胸をすくようなストーリー展開はページをめくる手を止めさせません。

脇役的ながら、実はこの物語の語り手的存在なのが暁信。ラストに至る怒涛の流れの中で暁信の存在は物語の中核をなす登場人物たちを引き立てています。

是非とも映像化したい作品。垣根さんの歴史小説はなかなか読ませます。次の作品も楽しみです。


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上田秀人の「新参 百万石の留守居役(三)」 [読書]

新参 百万石の留守居役(三) (講談社文庫)

新参 百万石の留守居役(三) (講談社文庫)

 
このシリーズ、スケールが大きくて主人公であるところの瀬能数馬があまりにも情けなく小さく見えてしまうところが面白いと言えば面白い。
テレビドラマにしろ小説にしろ「脇役が光るものは面白い」という法則(あくまで私の法則ですが)にはかなっていて、本書でいえば前田直作や本多正長、その娘の琴姫などの脇が個性豊かでシリーズとしての面白さを醸し出しているような気がします。
本書の当シリーズの三作目。留守居役に任じられて右も左もわからず、若いゆえに人生経験もない。教育係の五木や前田直作などに忠義の意味を問われ、その答えに戸惑いを覚える様はなんともほほえましいシーンではありますが、果たしてこんな調子で重要な役回りをこなせるのかと心配です。
今後、巻が進むごとに(既刊は8巻)成長する様がみられるのでしょう。ゆっくりとその成長ぶりを追いたいものです。 

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高村薫の「李歐」 [読書]

李歐 (講談社文庫)

李歐 (講談社文庫)

高村さんの作品、久しぶりに読みました。日々現実逃避の気がある私としては、内面をえぐるような記述はつらいものがありますが、なんとか最後まで読み切ったという感じです(再読です。「わが手に拳銃を」のときよりしっかり読んだ気がする・・・)。
フツー?(やや変わってますかね、本書の主人公一彰くんは・・・)の青年の半生。何気ない日々の行動がいつの間にか大国間の抗争の文脈で語られるようになった展開は、少々驚きではありますが、ち密な構成ゆえか違和感を感じません。
ある種大変怖い内容ではありますが、現代のようにネットや仮想現実の世界でいつのまにか巻き込まれるという世界よりは現実の人間が絡み会話が成立している段階で今より少しはましかもしれません。
大陸に抱く夢・・・そんな夢想を抱ける時代ではないかなぁー 

京極夏彦の「虚実妖怪百物語」 [読書]


虚実妖怪百物語 急 (怪BOOKS)

虚実妖怪百物語 急 (怪BOOKS)

 
 
 
 
 
いやーこの本、3部作(序破急)になってますが、珍しく一気に読んでしまいました。
正に現代の世相を描いた作品!京極ファンとしてはこんな作品を待っていた!という感じですな。
本当にこのままでは日本という国家は崩壊しかねない、加藤保徳がくるぞ!ダイモンが来るぞ!って感じ。
馬鹿の余裕がなくなることで、国家が滅びるという視点は実にすばらしい、その通りだと思います。
最後の妖怪大戦争!いやー痛快でした。これって映像化できないもんでしょうか?実在の人物がたくさん出てますが、役者に代えて・・・ 


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月村了衛の「機龍警察」(完全版) [読書]

機龍警察〔完全版〕 (ハヤカワ・ミステリワールド)

機龍警察〔完全版〕 (ハヤカワ・ミステリワールド)

この近未来的な小説の最大のテーマは、この小説が描かれている背景そのものにあるのではないかと思っています。世界中でなくならない戦争やテロ事件、日本国内の暗い世相・・・そもそも機龍警察そのものの存在がヤバイ状況になっているということでしょう。
警察小説として要素とSF的エンタテイメントの要素が入り混じりながらも、ある種のリアルさを伴うという点で秀逸な作品といえるのかもしれませんが、小説の中のイメージ全体が暗いトーンであることに、救われない気がしないでもないのです。
こんなメカが警察に配備されるような状況だけは避けたいものです。 

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花村萬月ほか「決戦!桶狭間」 [読書]


決戦!桶狭間

決戦!桶狭間

 
 
 
 
 
年度末の忙しさにかまけてブログを更新する機会を大いに逸してしまいました。もう3月も中旬ですね。前回の2月末の更新から半月近くも経ってしまいました。この間4冊は読んだはずなのですが(いかん!何を読んだかもうるおぼえ…)、おいおい更新していきたいと思います。
さて、今回の決戦の場は桶狭間。冲方丁、宮本昌孝、富樫倫太郎、矢野隆、木下昌輝、花村萬月の各氏が桶狭間を舞台に決戦に関わった登場人物を設定、それぞれの視点から桶狭間を描いています。
決戦シリーズの面白さはこうした多面的視点からのアプローチ。もっとも、本作で唯一共通しているのが今川義元がいろんな意味で名君であったということでしょうか?ちょっとしたタイミングのズレがなければ、間違いなく上洛を果たしていたのではないでしょうか?
そういう意味で、織田信長という人はラッキーであったと同時に、何か持っている人だったに違いありません。
 
さて、次はどの時代のどんな決戦が舞台になるのか?楽しみです。 


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