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村上春樹の「パン屋を襲う」と「図書館奇譚」 [読書]

パン屋を襲う

パン屋を襲う

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2013/02/01
  • メディア: 単行本
図書館奇譚

図書館奇譚

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2014/11/27
  • メディア: 単行本
2冊とも随分前に読んだ記憶があるのですが、どうにも思い出せない。この装丁(絵本だそうで)を手に取って「おっ」と思ったのですが、読み進めても「あ~あの作品か?」という記憶がよみがえってこない。よほど印象に残らなかったのか、読んだつもりで単に目で追っただけだったのか、それとも全くの初見だったのか・・・
いずれも微妙なリアリティの世界にあって非現実的な部分も目につきつつスルーすることを恐れないストーリー。「図書館」の方はパラレル、過去と現実な局面が入り混じって多少は戸惑うものの、混乱した私の頭脳にはちょうどよい錯綜度合いでした。
もしかしたら本当に初見だったのかもしれません。


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宮部みゆきの「三鬼 三島屋変調百物語四之続」


三鬼 三島屋変調百物語四之続

三鬼 三島屋変調百物語四之続

  • 作者: 宮部 みゆき
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2016/12/10
  • メディア: 単行本

最近どうもいけません。例年よりも早く暖かくなって気分が浮かれたのか、本を継続して読むという気力が減退、年度末の仕事の忙しさにもかまけてしまったのか、前回のアップから早1ヵ月が経ってしまいました。

この間、宮部さんの著作、いずれも長編にチャレンジしておりましたが、途中で断念(やめたわけではないのですが、物語の展開にやや疲れてしまって・・・作品のせいではなく、私の忍耐力の問題が主ではありますが・・・)。読後アップの原則に照らしてみれば掲載することもかなわず、という次第です。

さて、本書はそんな状態の中でなんとか読み切った作品です。本シリーズ三巻までは読んでいましたが、正直、設定以外のお話は忘却の彼方に近い感じ。なんとなく記憶には残っているものの・・・とはいえ、この作品の世界観は好きです。本書エピソードの最後で、富次郎という従兄と勘一という本屋が新たに加わったことで次の作品への展開が期待できるのはファンにとってありがたいことです。

それにしても本書のエピソード(変わり百物語)は怪奇怪談の類になるのでしょうが、テーマは一貫して人の業なのでないかと思います。亡くなった家族や子どもに会いたいと思う念、自らが生きる残るために自らの悪行を正当化する念、猜疑心、嫉妬心にもとづく念と、他人事ではない自分の深層にある念が具現化した話だけに、なんとも胸が苦しいもやもやした気分になります。唯一、2本目の作品(はらぺこ神様に憑かれたお話)はほのぼのしました。おちかという美人(可愛い?)お嬢さんとその取り巻きの登場人物のリアリティがそうした気分をほぐしてくれる構成。早くも次回作が楽しみです。


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吉川永青の「誉れの赤」 [読書]

誉れの赤

誉れの赤

  • 作者: 吉川 永青
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/06/25
  • メディア: 単行本
戦国の世にその名を知らしめた「赤備え」。武田軍団最強部隊として恐れられたものの、武田家の衰退とともにその命運はつきたかと思われました・・・・それが井伊家の赤備えとなり復活するまでのお話です。
主人公は成島勘五郎という名もなき武士。幼馴染で百姓ながら成島家の郎党的立場だった藤太の二人の後半生を描いています。武田の赤備えを率いた山縣やそれを引き継いだ井伊といったそれなりに歴史に名を遺した人たちからの視点ではなく、軍団を構成する一兵卒の立場から描いた点が面白い。
武士としての対面、生き方にこだわり、その証として赤備えの一員であったことにこだわった勘五郎と根っこは百姓にあって、山縣昌景や石川数正といった「上司」に目を掛けられ、上司を慕うことで赤備えとしての役割と存在することに意義を感じていた藤太は、井伊直政というある種の破天荒な上司を持つにいたり袂を分かつことになります。
赤備えとはこうあるべき・・・という生き方と、赤備えに所属したことで得た生き方・・・このせめぎあいだったのではないかと思います。
関ヶ原の合戦で井伊の抜け駆けの際の戦闘で、一方の主人公である勘五郎は最期を遂げ物語は終わりますが、数千人(諸説あり)にも及ぶという兵卒の骸にたたずむ藤太の姿が目に浮かぶようです。歴史とはこうした名もなき人々によって作られているとしみじみ感じさせられる作品でありました。

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堂場瞬一の「潜る女 アナザーフェイス8」 [読書]


潜る女 アナザーフェイス 8 (文春文庫)

潜る女 アナザーフェイス 8 (文春文庫)

  • 作者: 堂場 瞬一
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2017/03/10
  • メディア: 文庫

大友鉄のアナザーフェイスシリーズの第8弾。今回は結婚詐欺の事件で捜査二課のヘルプです。殺人事件との絡みもあって、一課との御馴染みの連中との絡みもあり、「 ルーキー - 刑事の挑戦・一之瀬拓真 (中公文庫) 」シリーズの一之瀬刑事も登場(一之瀬シリーズに大友も登場済み)し、堂場さんの刑事ものは”職場間交流”があってよい。読者としてはにんまりする瞬間です。

いつもながら思うのは、シリーズ当初から思っていたことですが、主人公の大友鉄という人物が、等身大のキャラクターであり、かつ好感の持てる人となりで、読んでいてリアルな存在であるということ。派手な事件やスーパー刑事が登場するような作品ではないだけに盛り上がりに欠けるような懸念がありつつも、息子や実家、義母とのやりとりや彼らに対する思い、感情。加えて、職場の同期、同僚との事件とは関係ないところでのやり取りが随所に盛り込まれ、事件の進行が気になりながらも、それを追う大友の気持ちや考え方を理解しながら読み進めることで、地味な話も広がり、深みを持つことになります。

きれいなお姉さんが登場する本作、詐欺事件の立証で前半は地味、後半は殺人事件との絡みもあって、リズムが変わります。メリハリの作品。面白いです。

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岩井三四二の「家康の遠き道」 [読書]


家康の遠き道

家康の遠き道

  • 作者: 岩井 三四二
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2017/05/17
  • メディア: 単行本
関ヶ原の合戦の後、幕府を開き、秀忠に将軍職を譲った後、大坂の陣に至るまでの家康の最晩年を描いた作品です。1607年から1616年のおよそ9年間の物語。
実質的に天下人となったにもかかわらず、目の上のたんこぶである豊臣家は残り、幕府自体も不安定な状況下にあって、「守成」=徳川家の権力の維持、発展、幕府の体制を守るために奔走する家康の姿を生き生きと描いた作品です。
この時期、イスパニアやポルトガルに加え、大航海時代の末期にあって、新興国であるオランダやイギリスが日本に頻繁に訪れていたこと。鎖国以前の日本において海外へ門戸が開かれていたことで、「世界の中の日本」という視点からの歴史の一端が窺える内容となっています。現在でいえば内閣総理大臣的存在である(大御所だから前職となりますか)家康は外交問題にも直面していたわけで、幕末の日本人よりもよほどグローバルな視点で臨んでいたのではないかと想像されます。このまま鎖国という政策をとらなければ、日本の歴史も相当変わっていたのではないかと思います。
いずれにせよ、関ヶ原から大坂の陣まで一気に時代が動いた感がありますが、この両合戦の間に密度の濃い時間帯が存在したことは、なかなか興味深い。天下分け目というけれど、世界史からみれば所詮は内戦。世界というダイナミズムの前では小さい話だったことも改めて気づかされます。ちょっと角度を変えてみると歴史も相当面白い、奥が深いと思わされた作品です。

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「決戦!賤ヶ岳」 [読書]

決戦!賤ヶ岳

決戦!賤ヶ岳

  • 作者: 天野 純希
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/11/22
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
ご存知決戦シリーズ。今回は羽柴秀吉と柴田勝家の天下分け目の決戦!賤ヶ岳の戦いがその舞台となっています。賤ヶ岳の七本槍と称された武将たちの物語を中堅どころの作家さんたちが描く連作集。
作家や描いた武将は異なるのに、いずれの登場人物たちも「七本槍」といわれることに違和感や拒否感を持っていたことが共通していたのは面白かった。譜代の有力家臣団を形成していなかった秀吉のブランディング戦略の結果として一目置かれるも、結果としていずれの武将も決して良い末路とは言えなかったような気がします。豊臣政権と同じような夢幻、夢のまた夢・・・・何かしら哀れを感じる作品群でした。

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朱川湊人の「狐と鞭 ~知らぬ火文庫」 [読書]

狐と韃(むち)~知らぬ火文庫~

狐と韃(むち)~知らぬ火文庫~

  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2017/08/20
  • メディア: Kindle版
本書は「日本国現報善悪霊異記」=「日本霊異記」をベースにしたお話です。奈良以前、律令国家誕生以前からの怪異や奇跡にまつわる説話が元になっています。日本霊異記の作者とされる僧の景戒も登場人物の一人として登場。渡来人が当たり前のように存在する社会。異形の人とは渡来人のことだったのかもしれないと思いつつ、歴史上の出来事=政争の背景にあるような出来事についても霊を介してその真実が明らかになったり・・・といいつつ本当のところはどうなのか分かりませんが、1000年も前の世界観は恐らくは今と全く違った世界であることは想像に難くなく、まるでおとぎ話のような雰囲気を存分に楽しめます。
明るく元気になる一冊とは言えませんが、一読に値する本かもしれません。


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堂場瞬一の「傷」 [読書]

傷 (講談社文庫)

傷 (講談社文庫)

  • 作者: 堂場 瞬一
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/01/15
  • メディア: 文庫
警察小説とスポーツ小説が得意な堂場先生、本作はその得意ジャンルを一緒にしてしまった作品です。
プロ野球で実力と人気を兼ね備えた選手がプレー中にフェンスの激突してしまい半月板損傷の疑いで手術を受けることに。執刀は日本のスポーツ医学・外科の第一人者といわれるベテラン医師。
比較的簡単な手術にもかかわらず、終わってみれば膝の靭帯を損傷、それも医師が故意に傷つけたのではないか?という疑いが持たれ、さらにその医師は手術後に失踪します。
別の医師に靭帯の再建手術を施してもらいますが、術後の経過は芳しくなく、大リーグへの移籍(チームで内緒にその可能性を模索していたことがあとで発覚)はおろか選手生命すら断たれる危機に直面します。
故意に靭帯を傷つけた疑いで傷害事件、医療過誤事件として警察が捜査に乗り出すことに。交番勤務から刑事になりたての新人刑事と事件をたまたま知ることになった女性新聞記者(社会部遊軍)が事件を追います。
スポーツ界の裏側、大リーグ移籍に絡む代理人、警察内部のさまざまな駆け引き、大手新聞社の記者のおかれた立場など、事件を取り巻く不可思議?ともいえる人間関係が浮き彫りにされます。
物語の展開がスピーディで知らない間に引き込まれてしまう小説。スポーツミステリともいえる作品ですが、警察小説の要素も大いに盛り込まれたストーリー、面白いです。

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梓澤要の「光の王国 秀衡と西行」

光の王国 秀衡と西行

光の王国 秀衡と西行

  • 作者: 梓澤 要
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2013/11/12
  • メディア: 単行本
奥州藤原氏三代目の藤原秀衡と歌人として有名な西行のお話です。西行は、俗名佐藤義清(さとうのりきよ)といい、秀郷流藤原氏の流れを組む武士。同じ秀郷流を遠祖と称する奥州藤原氏とはいわば遠い親戚同士なのですが、本書では、その事実を知らずに、時の権力者藤原頼長から奥州藤原氏の動向を探るべく平泉に派遣されたことになっています。双方が同祖であることを知るのは、平泉で秀衡と関わることになってから。西行は二度に渡って奥州藤原氏の本拠地である平泉を訪れたのは史実のようで、本書はその史実をベースにしたものです。
物語は奥州藤原氏二代目の藤原基衡が当主の時代。西行、秀衡ともに二十代の若者。初代清衡が開府した平泉は発展途上のさなかにあり、理想郷の実現に向けて活気あふれる街の喧噪のなか、若き秀衡と西行の日々が描かれています。
藤原秀衡といえば奥州藤原氏最盛期を築いた人。北方の王者といわれ、ドラマなどでも何度か登場したことがありますが、その多くはいずれも晩年(源義経との関係性によって登場することから)の御姿。滝沢修、萬屋錦之介、高橋秀樹や渡瀬恒彦、ちょっと変わったところでは京本正樹というのもありましたが、二十代のはつらつした感のある若武者秀衡は初めて。テレビや映画になったら誰が演じるのか気になります。
理想郷、ユートピアとして描かれている平泉。それを舞台にした本書はある種のファンタジー作品ともいえるかもしれません。

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朱川湊人の「幸せのプチ - 町の名は琥珀」 [読書]

幸せのプチ ――町の名は琥珀

幸せのプチ ――町の名は琥珀

  • 作者: 朱川 湊人
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2016/11/09
  • メディア: 単行本
プチというのは犬の名前です。もっとも野良犬なので本当のところはわかりません。人によっては別の名前で呼んでいるかも・・・という感じです。
プチは都電が走る下町、琥珀という町に住んでいます。どこからともなく現れ登場人物たちをいやしてくれますが、時には登場人物を守るため体を投げ打って他の犬と戦ってくれたりもします。
もっともプチは年齢も性別もわかりません。保健所に連れていかれたりしたのですが、なぜか殺処分されずに“釈放”されるなど、その存在は謎です。
本書は琥珀という町を舞台にした連作集なのですが、各短編同士のつながり(店の名前や登場人物、風景など)が読んでいて安心するというか、「あ、その人知ってる!」的なささやかな楽しみがあります。
プチは物語全体の落としどころに導く水先案内人(登場シーンは決して多くないです)みたいな存在で描かれていますが、物語を左右する存在でもあります。
なんかほのぼのした感じの読後感。ストレスがたまっている人には心穏やかにしてくれる作品、お奨めの一冊です。


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