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誉田哲也の「硝子の太陽R-ルージュ」 [読書]

硝子の太陽R-ルージュ

硝子の太陽R-ルージュ

  • 作者: 誉田哲也
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2016/05/11
  • メディア: 単行本
姫川玲子シリーズにして「ジウ」とのコラボシリーズで「 硝子の太陽N - ノワール」とのリンク作品。一家惨殺という事件を追うという展開ですが、その背景にあるのは戦争であり、日本を取り巻く国際情勢であり、日本の置かれた立場=具体的には日本とアメリカの関係だったりします。
登場人物であるベトナム戦争に従軍した経験のあるアメリカ人の口から、戦後日本の歩みと日本という国のポジションが語られますが、そのシンプルにして単純な状況が本書に描かれている事件のきっかけになっているかもしれません。
日本国内、沖縄を取り巻く状況に絡め左翼と目される人物の暗躍はガンテツこと勝俣の案件として結論は出てないのですが、この曖昧な結論こそが今のすっきりしない日本そのものを映しているような感じも受けました。
姫川ねえさんのキレの良さは健在。読み物としては追っかけたいシリーズの一つではあります(このシリーズの殺人描写はかなりえぐいもので読む耐えない感じですが・・・)

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蘇える鬼平犯科帳-池波正太郎と七人の作家 [読書]

蘇える鬼平犯科帳―池波正太郎と七人の作家

蘇える鬼平犯科帳―池波正太郎と七人の作家

  • 作者: 逢坂剛
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2017/10/01
  • メディア: 単行本
シャーロックホームズやジェームズボンドなど、原作者が亡くなっても新たなストーリーが求められるというのはそれだけそのキャラクターを支持している人が多いということなのでしょう。冒頭にあげた二人は架空の人物でありながら、ファンの間では実在の人物として扱われているふしがある・・・。著作権を管理したり、ファンクラブなりの承認を得る形で新たな作品が今も出版されています。
さて、鬼平こと長谷川平蔵も日本においてはホームズやボンドに匹敵するキャラクターです(私見ですが)。もっともこちらは実在の人物であり、存命中の功績も記録が残っている人です。この人物をスター化したのが、今は亡き池波先生。彼の書いた鬼平がフィクションでありながら実在の長谷川平蔵その人という状態になっている。ちょうど司馬遼太郎の書いた坂本竜馬が竜馬像のデファクトになっていると同じ。
さて、本書はその池波先生のオリジナル作品1本と、逢坂剛、上田秀人、梶よう子、風野真知雄、門井慶喜、土橋章宏、諸田玲子の諸先生が書いた鬼平作品7本が収録されています。
いずれの先生も時代小説では御馴染みの顔ぶれ。家督をついでから火付盗賊改方に就くまでの時代の平蔵にスポットを当てた作品、うさぎこと木村忠吾が活躍する作品に加え、鬼平以外登場人物がまったくのオリジナルの作品もありで、その内容はかなりバラエティに富んでいますが、鬼平の世界観がそのまま。みなさんの鬼平に対する愛がそうさせたのでしょう。
アプローチとして面白かったのが、風野真知雄の作品。彼のシリーズ、「耳袋秘帖」の外伝という形で掲載されています・・・直接鬼平が出てこなくても"鬼平観"が漂っているところがすごい!
お薦めの一冊です。 

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高橋克彦の「水壁 アテルイを継ぐ男」 [読書]

水壁(すいへき) アテルイを継ぐ男

水壁(すいへき) アテルイを継ぐ男

  • 作者: 高橋 克彦
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2017/03/11
  • メディア: 単行本
今年は「明治150年」なそうな。しかし、東北人にとっては「戊辰150年」である。官軍という名の軍隊に故郷を蹂躙され、戦後は「一山百文」と揶揄され、さげすまれたきた150年である・・・この西から東、そして北という国内における侵略の歴史は戊辰戦争が初めてではない。
古くは阿弖流為、母礼と坂上田村麻呂ら朝廷軍との戦い、その後の源頼朝の奥州征伐、豊臣秀吉の奥州仕置、九戸政実の乱など時代の節目、変わり目において新しい勢力が全国を制覇する際、最後の戦いの場となるのが東北(陸奥、出羽/奥州)の地である。
本書は阿弖流為たちが坂上軍に投降してから約70年後の元慶の乱の顛末を描いた作品。天日子という阿弖流為の末裔がリーダーとなって蝦夷を率いて戦う。
多くのサポーター?が主人公の下に参集し、勝利を収めていくという展開は高橋先生の奥州・蝦夷ものの定番。そういう意味で裏切らない作品。
まだまだ東北には埋もれた名もなき英雄が埋もれていると思う。高橋先生も御歳だけど戦う蝦夷、戦う東北作品がもっともはまっていると思う。無名の英雄発掘!作品化、期待してます!


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アンソニー・ホロヴィッツの「モリアーティ」 [読書]

モリアーティ

モリアーティ

  • 作者: アンソニー・ホロヴィッツ
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2015/11/28
  • メディア: 単行本
モリアーティといえばシャーロック・ホームズの最大にして最強のライバル。物語はホームズとモリアーティの直接対決=ライヘンバッハの滝の決闘の直後から始まります。この闘いによりホームズはしばらく行方をくらますことになりますが、本書では滝壺の中から引き上げられたモリアーティの死体検案に立ち会った(つまりモリアーティは死んだ!)アメリカのピンカートン探偵社の探偵とスコットランド・ヤードの警部の二人を主人公にした物語となっています。
モリアーティとアメリカの犯罪者集団が大西洋を挟んで連携するのを阻止するという内容ですが(モリアーティ亡き後、アメリカの犯罪者集団はその後釜に座る)、物語の基本的構成は警部はホームズ役、ピンカートンの探偵がワトスン役というホームズシリーズの原則を貫く形で進んでいきます。
『モリアーティはそう簡単に死ぬはずがない』という潜在意識を読者に持たせつつ、最後の最後で「あっ!」と言わせる展開はテレビ脚本などを手掛ける作者の得意とするところかも。
いずれにせよ、ホームズをそれを取り巻くキャラクターの奥深さという点で最強のコンテンツ。ホームズ絡みでは新作の部類でしょうが、どんどん広がりがみせるのはファンとしてはありがたいというしかありません。


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誉田哲也の「増山超能力師大戦争」 [読書]

増山超能力師大戦争

増山超能力師大戦争

  • 作者: 誉田 哲也
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2017/06/16
  • メディア: 単行本
テレビ化もされた超能力師シリーズの第2弾。超能力を巡る研究が外国から狙われているというプロットのお話であり、物語の構造自体はよくあるケースですが、「超能力」というある種の最終兵器が制御不能になった場合、非常に怖いことになるというお話でもあり、エンタテイメント作品でありながら、ある種ふか~ぃテーマを内包した作品なのではないかなと思いながら読み終えました。
その辺、ラストシーンで主人公である増山とその師匠にあたる高鍋との会話に集約されています。考えようでは、核兵器に似ている部分もあって、抑止力であったり、民生への有効利用、平和共存という大義名分にあって“心ある超能力師”が超能力師及びその関係する団体や規制を制御することで、その特殊な力をコントロールする。こころある人も含めた超能力の“全廃”はないわけで、能力を持ったものの既得権が全てを支配する構造にならないか?という懸念のまま作品は終了するわけです。しかもそのことを議論したことすら事実に残らない・・・恐ろしい話です。コミック的ストーリー(表紙のイラストもそうですが)ではありますが、ふか~いお話。展開から次回作もありそう。今後どんなお話になるんでしょうか?

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東野圭吾の「素敵な日本人 東野圭吾短編集」

素敵な日本人 東野圭吾短編集

素敵な日本人 東野圭吾短編集

  • 作者: 東野 圭吾
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2017/03/30
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
読後の印象・・・小気味良さにすっきりした読み心地。いずれの作品もキレが良く納得の作品でした。名探偵、名刑事も出てきませんが、1話完結の良質なテレビドラマを観た感じ。かつての星新一のショートショートを彷彿とさせる作品もあり、ある種のなつかしさも。
寝る前に1篇、とはよく言ったもんで。この本を読んでいる間はぐっすり眠れました。

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村上春樹の「パン屋を襲う」と「図書館奇譚」 [読書]

パン屋を襲う

パン屋を襲う

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2013/02/01
  • メディア: 単行本
図書館奇譚

図書館奇譚

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2014/11/27
  • メディア: 単行本
2冊とも随分前に読んだ記憶があるのですが、どうにも思い出せない。この装丁(絵本だそうで)を手に取って「おっ」と思ったのですが、読み進めても「あ~あの作品か?」という記憶がよみがえってこない。よほど印象に残らなかったのか、読んだつもりで単に目で追っただけだったのか、それとも全くの初見だったのか・・・
いずれも微妙なリアリティの世界にあって非現実的な部分も目につきつつスルーすることを恐れないストーリー。「図書館」の方はパラレル、過去と現実な局面が入り混じって多少は戸惑うものの、混乱した私の頭脳にはちょうどよい錯綜度合いでした。
もしかしたら本当に初見だったのかもしれません。


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宮部みゆきの「三鬼 三島屋変調百物語四之続」


三鬼 三島屋変調百物語四之続

三鬼 三島屋変調百物語四之続

  • 作者: 宮部 みゆき
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2016/12/10
  • メディア: 単行本

最近どうもいけません。例年よりも早く暖かくなって気分が浮かれたのか、本を継続して読むという気力が減退、年度末の仕事の忙しさにもかまけてしまったのか、前回のアップから早1ヵ月が経ってしまいました。

この間、宮部さんの著作、いずれも長編にチャレンジしておりましたが、途中で断念(やめたわけではないのですが、物語の展開にやや疲れてしまって・・・作品のせいではなく、私の忍耐力の問題が主ではありますが・・・)。読後アップの原則に照らしてみれば掲載することもかなわず、という次第です。

さて、本書はそんな状態の中でなんとか読み切った作品です。本シリーズ三巻までは読んでいましたが、正直、設定以外のお話は忘却の彼方に近い感じ。なんとなく記憶には残っているものの・・・とはいえ、この作品の世界観は好きです。本書エピソードの最後で、富次郎という従兄と勘一という本屋が新たに加わったことで次の作品への展開が期待できるのはファンにとってありがたいことです。

それにしても本書のエピソード(変わり百物語)は怪奇怪談の類になるのでしょうが、テーマは一貫して人の業なのでないかと思います。亡くなった家族や子どもに会いたいと思う念、自らが生きる残るために自らの悪行を正当化する念、猜疑心、嫉妬心にもとづく念と、他人事ではない自分の深層にある念が具現化した話だけに、なんとも胸が苦しいもやもやした気分になります。唯一、2本目の作品(はらぺこ神様に憑かれたお話)はほのぼのしました。おちかという美人(可愛い?)お嬢さんとその取り巻きの登場人物のリアリティがそうした気分をほぐしてくれる構成。早くも次回作が楽しみです。


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吉川永青の「誉れの赤」 [読書]

誉れの赤

誉れの赤

  • 作者: 吉川 永青
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/06/25
  • メディア: 単行本
戦国の世にその名を知らしめた「赤備え」。武田軍団最強部隊として恐れられたものの、武田家の衰退とともにその命運はつきたかと思われました・・・・それが井伊家の赤備えとなり復活するまでのお話です。
主人公は成島勘五郎という名もなき武士。幼馴染で百姓ながら成島家の郎党的立場だった藤太の二人の後半生を描いています。武田の赤備えを率いた山縣やそれを引き継いだ井伊といったそれなりに歴史に名を遺した人たちからの視点ではなく、軍団を構成する一兵卒の立場から描いた点が面白い。
武士としての対面、生き方にこだわり、その証として赤備えの一員であったことにこだわった勘五郎と根っこは百姓にあって、山縣昌景や石川数正といった「上司」に目を掛けられ、上司を慕うことで赤備えとしての役割と存在することに意義を感じていた藤太は、井伊直政というある種の破天荒な上司を持つにいたり袂を分かつことになります。
赤備えとはこうあるべき・・・という生き方と、赤備えに所属したことで得た生き方・・・このせめぎあいだったのではないかと思います。
関ヶ原の合戦で井伊の抜け駆けの際の戦闘で、一方の主人公である勘五郎は最期を遂げ物語は終わりますが、数千人(諸説あり)にも及ぶという兵卒の骸にたたずむ藤太の姿が目に浮かぶようです。歴史とはこうした名もなき人々によって作られているとしみじみ感じさせられる作品でありました。

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堂場瞬一の「潜る女 アナザーフェイス8」 [読書]


潜る女 アナザーフェイス 8 (文春文庫)

潜る女 アナザーフェイス 8 (文春文庫)

  • 作者: 堂場 瞬一
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2017/03/10
  • メディア: 文庫

大友鉄のアナザーフェイスシリーズの第8弾。今回は結婚詐欺の事件で捜査二課のヘルプです。殺人事件との絡みもあって、一課との御馴染みの連中との絡みもあり、「 ルーキー - 刑事の挑戦・一之瀬拓真 (中公文庫) 」シリーズの一之瀬刑事も登場(一之瀬シリーズに大友も登場済み)し、堂場さんの刑事ものは”職場間交流”があってよい。読者としてはにんまりする瞬間です。

いつもながら思うのは、シリーズ当初から思っていたことですが、主人公の大友鉄という人物が、等身大のキャラクターであり、かつ好感の持てる人となりで、読んでいてリアルな存在であるということ。派手な事件やスーパー刑事が登場するような作品ではないだけに盛り上がりに欠けるような懸念がありつつも、息子や実家、義母とのやりとりや彼らに対する思い、感情。加えて、職場の同期、同僚との事件とは関係ないところでのやり取りが随所に盛り込まれ、事件の進行が気になりながらも、それを追う大友の気持ちや考え方を理解しながら読み進めることで、地味な話も広がり、深みを持つことになります。

きれいなお姉さんが登場する本作、詐欺事件の立証で前半は地味、後半は殺人事件との絡みもあって、リズムが変わります。メリハリの作品。面白いです。

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