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東野圭吾の「ウィンクで乾杯」 [読書]


ウインクで乾杯 (ノン・ポシェット)

ウインクで乾杯 (ノン・ポシェット)

  • 作者: 東野 圭吾
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 1992/05/01
  • メディア: 文庫

最近は二時間ドラマのサスペンスを“2サス”というらしい。

本書はその2サスの原作としてはぴったりの作品。美人?で可愛い?女性主人公。最初は自殺と思われた展開が殺人事件に発展、途方に暮れてると思いきや現場で知り合った刑事を事件を解決に導く・・・昨今、刑事物やサスペンス物はリアルでシリアスなものが多い中で、こうした原作はちょっとした売れっ子女優を主人公に、かつイケメン系の若手男優を配してドラマ完成!という感じかな。

もっとも本書が書かれたのはバブルの雰囲気が残っている時代。世の中の雰囲気はこうした作品を求めていた時代であり、いちいち細かいところをあげつらってもしょうがない。東野さん的には書いても書いても評価されない暗黒の時代だったようでもあり、時代に雰囲気に乗って書いた作品かも?

本作のノリは、近年の「 マスカレード・ホテル (集英社文庫)」シリーズに通じる部分もあり、それはそれでそのベースであることを考えれば良しとしますかね。


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奥田英朗の「ウランバーナの森」 [読書]

ウランバーナの森 (講談社文庫)

ウランバーナの森 (講談社文庫)

  • 作者: 奥田 英朗
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2000/08/10
  • メディア: 文庫
避暑地軽井沢で過ごす“ジョン”が主人公です。ジョンは英国人でリバプール生まれ。知る人ぞ知るミュージシャンであり、スターでもありますが、軽井沢で過ごしている彼は一部の人たちを除いて気づかれていない。物語はそんな日本で過ごす4回目の夏、ちょうどお盆のころのお話です・・・
便秘、幻覚、そして幽霊・・・なんとなく主人公のジョンはあいつか!と思いつつ(もっともこれはあくまでも奥田先生が創作したフィクションであります)、彼のジョンが便秘を起点に苦しむさまは非常にほほえましいというか、本当にそんな夏を過ごしていたら面白かっただろうな、なんてニヤニヤしながら読んでました。
また、ジョンの治療にあたる精神科医?心療内科医のキャラクターもよい。他の書評をみるとこのキャラクターが後の伊良部シリーズにつながった?という説もあるようですが、それもうなずける話。なかなかよいキャラでした。
タイトルの「ウランバーナ」とは・・・これは本書の展開、物語の本筋に関わることなのでここでは控えますが、いずれにせよ、ラストがスッキリ!としたものであったことは良かった。本物のジョンは悲しい最期を遂げますが、本書に登場したジョンのような感じで今も生き続けていてくれたらな、なんて思ってしまいました。
面白かったです。

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佐藤雅美の「敵討ちか主殺しか ~物書同心居眠り紋蔵」 [読書]

敵討ちか主殺しか 物書同心居眠り紋蔵

敵討ちか主殺しか 物書同心居眠り紋蔵

  • 作者: 佐藤 雅美
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/06/21
  • メディア: 単行本
歳を重ねるごとにこうした作品の面白さがわかってきたように思います。江戸時代の話ではありますが、居酒屋を起点に気心のしれた仲間たちと問題を解決していくというシーンはなんか良い。
主人公である紋蔵さんの存在感はそれなりにあるのですが、物語によっては紋蔵さん抜きで進むこともあり、それが後日報告される・・・日常がそこにあるといった展開は心が和みます。
普段、ストレスや落ち込んでいる人にとって当シリーズはそのもやもやした気持ちを和ませるサプリ的作品。お奨めのシリーズです。

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堂場瞬一の「奪還の日-刑事の挑戦・一之瀬拓真」 [読書]

奪還の日 - 刑事の挑戦・一之瀬拓真 (中公文庫 と)

奪還の日 - 刑事の挑戦・一之瀬拓真 (中公文庫 と)

  • 作者: 堂場瞬一 著
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2017/04/21
  • メディア: 文庫
また読んでしまいました。「 特捜本部 - 刑事の挑戦・一之瀬拓真 (中公文庫)」の続編。時間軸もその1年後という形になってます。このシリーズ、小気味よい感じで読みやすいし、面白い。アナザーフェイスシリーズの大友鉄さんが主人公の一之瀬に電話で話す、というシーンが登場。また、鳴沢了さんが伝説の刑事として噂話として語られるという特典付き。小説の中、同時代で進行しているシリーズとなっています。
そのうち高城さんなども話に出てきているので、これはいつかコラボする可能性大・・・読者の関心を引っ張りつつ買わせる作品か?
文庫本描き下ろしシリーズとして今後も続々発刊予定らしいので、その辺も期待しつつ次回作を待ちたいと思います。


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「決戦!関ヶ原2」 [読書]

決戦!関ヶ原2

決戦!関ヶ原2

  • 作者: 葉室 麟
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/07/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
決戦シリーズ 「決戦!関ヶ原 (講談社文庫) 」に続く関ヶ原の合戦の第二弾です。
葉室麟ー黒田長政
吉川永青ー島左近
東郷隆ー仙石久勝
箕輪諒ー小川祐忠
宮本昌孝ー本多忠勝
天野純希ー小早川秀秋
冲方丁ー大谷吉継
以上が今回の作家さんとそれぞれの作品の主人公です。歴史好き、関ヶ原の合戦について詳しい方でも、箕輪諒さんが書いた「小川祐忠」のことを知っている人は少ないのではないかと思っています。
関ヶ原合戦の武将の配置図をみて、小早川秀秋の陣の前に西軍として布陣した、脇坂安治、赤座直保、朽木元綱らの陣とならんでその名が見えます。
これら小川を含めた四将は結果的に小早川秀秋の裏切りと行動をともにするわけですが、事前に徳川に内応していた小早川はともかく、この人たちも事前に東軍と通じていたのか?という疑問です。
そもそも小川祐忠のことなどほとんど知らなかったのですが、今回、始めてその生涯を小説という形で読ませていただき、裏切りの人生だったこと、その汚名返上を機して関ヶ原に参戦したことなどを知りました。
実に面白い。戦国期にあって裏切りは日常茶飯事、そんなに責められることではないかとも思うのですが、そこは小説・・・
このシリーズの面白いところは、こうした知名度の高くない人(読者によってその知名度の高さ低さはさまざまでしょうが)にもスポットが当たること。
関ヶ原の合戦は、上杉vs最上、伊達連合軍を始めとしてネタの宝庫。是非、「関ヶ原3」をお願いしたいところです。

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堂場瞬一の「特捜本部-刑事の挑戦・一之瀬拓真」 [読書]

特捜本部 - 刑事の挑戦・一之瀬拓真 (中公文庫)

特捜本部 - 刑事の挑戦・一之瀬拓真 (中公文庫)

  • 作者: 堂場 瞬一
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2016/06/23
  • メディア: 文庫
堂場先生の著作は読むほうなのですが、この一之瀬拓真シリーズは不覚にも知りませんでした。本作の前に2冊出ており、本作に至るまでの主人公の一之瀬君の成長の軌跡を確認することなく読んでしまいましたが、何の違和感もなく読めました。
堂場先生のシリーズものでは、他のシリーズの登場人物とリンクすることが多く、思わずニヤリとすることがあるのですが、本作でも高城や大友などの名がでてきて楽しめました。
主人公の一之瀬君は実に今風のキャラクターで、あっさりしているというか、少々、小説、しかも警察モノの主人公としては物足りなさを感じた反面、平成の世のヒーロー的な振る舞いでむしろ好感を覚えました。
昨今の刑事モノのは横山秀夫先生の一連の作品にあるように、男と男のぶつかり合い、プロ意識の塊みたいなものが前面に出ることによって、殺伐とした雰囲気がデフォルトになり、他の作品、とくにテレビ作品にそのような感じが広まったように思うのですが、本作はその真逆。「テレビの、特に昭和の作品は嘘くさい」と言わせるセリフが出てきますが、その辺のギャップも面白い。
新しいヒーローの登場の予感・・・です。

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岩井三四二の「絢爛たる奔流」

絢爛たる奔流

絢爛たる奔流

  • 作者: 岩井 三四二
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/07/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
地味なタイトルです。登場人物も地味といえば地味。角倉了以という人の半生を描いた作品です。
京都の人はご存知の方が多いかもしれません。高瀬川を開削した人です。
角倉一族は土倉経営で財を成した一族で、了以はその分家筋にあたる人物。大堰川、富士川などの開削に私財をなげうって奔走し、さらに高瀬川の開削したことで、桃山時代から江戸初期における物流革命の先鞭を切った人といえましょう。
いまでいう公共工事ではありますが、当時の政府(時代的には関ヶ原の合戦から大坂冬の陣、夏の陣を経た辺り)がお金を出すわけではなく、「川を開削したいのですが、よろしいでしょうか?」という奇特者の申し出を、ありがたくも偉い人が許可を出す時代。このころでは豊臣秀頼が生きていたにもかかわらず大御所(家康)に許可を得ています。
当時の感覚では豊家はもう終わっている、という感覚が利にさとい商人たちにはわかっていたのかしらん、などと本編に関係のないところで感心したりしながら読みました。
しかし、こうしたことを成し遂げる人物というのは、常人、凡人には計り知れないバイタリティがあるもので、本書でいえば、主人公了以の息子である与一の常識的判断がまっとうだと思ってしまいます。もっともその与一も当時としては藤原惺窩、本阿弥光悦、俵屋宗達など一流の学者、文化人との付き合いがあったというからすごい。
あの父にしてあの子あり、という感じですな。
ただただその勢いに圧倒されつつ読了。
評伝としておもしろく読ませていただきました。

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アンソニー・ホロヴィッツの「007 逆襲のトリガー」 [読書]

007 逆襲のトリガー

007 逆襲のトリガー

  • 作者: アンソニー・ホロヴィッツ
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2017/03/24
  • メディア: 単行本
007、ジェームズ・ボンドの新作です・・・といってもイアン・フレミングの原作によるものではなく、イアン・フレミング財団公認によるアンソニー・ホロヴィッツの作になるものです。
アンソニー・ホロヴィッツはイギリスの作家・脚本家。ポワロや刑事フォイルの企画・脚本、コナン・ドイル財団公認で、シャーロック・ホームズの新作、「絹の家」、「モリアーティ」の著作でも知られている。
本作は007シリーズの「ゴールドフィンガー」事件の直後の時代。イアン・フレミング時代のリアル?なジェームズ・ボンド、ショーン・コネリー演じるボンドが登場する。やっぱジェームズ・ボンドは米ソの冷戦時代がよく似合う。しばらく前に、ジェフリー・ディーヴァーが書いた「007 白紙委任状」は9.11以降の現代を舞台にしたもの。こっちはダニエル・クレイグか?
いずれにせよ小説の中のボンドは映画とは異なりかなり地味。作品の最後の部分で派手なシーンも登場するが、結構お約束の感は否めず。まあ、仮に秘密諜報部員や工作員は実在するとすればこんなもんでしょう、というです。
話としては3.5/5点くらい?まあまあ面白かった。それにしてもボンド、ぶっちゃけ今の世界情勢の中でかなり生きにくいのでは?その辺、今後の新作に期待しつつ興味がわきます。

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笹本稜平の「遺産」 [読書]


これぞ冒険海洋歴史ロマンというのではないでしょうか?

是非、映像化したい作品です。

作品名の「遺産」は、主人公だけにかかるものではないですのが(読了後にわかります)、まさにその遺産をめぐる男たちの(女性も登場しますが)ロマンの物語。

純粋に冒険心をくすぐられる作品であり、登場人物の多くが読者の期待する方向に動いてくれます。

また、本書は現代だけでなく400年前の日本も登場、鎖国前の朱印船貿易華やかりし時代のフィリピンを舞台に国際色豊か、スケールの大きなステージがロマンを掻き立てます。

まるで海外の作家の作品を読んでいるようなスケール感。

読むと気分が前向きになります。

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磯田道史の「歴史の愉しみ方-忍者・合戦・幕末史に学ぶ」 [読書]

歴史の愉しみ方 - 忍者・合戦・幕末史に学ぶ (中公新書)

歴史の愉しみ方 - 忍者・合戦・幕末史に学ぶ (中公新書)

  • 作者: 磯田 道史
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2012/10/24
  • メディア: 新書
最近、歴史の常識と思っていたことが新たな文献などの発見によって覆されることが多くなってきているような気がします。
私的には、もう随分前になりますが、足利尊氏や源頼朝の肖像がどうやら違うらしい(源頼朝に関しては、最近は伝源頼朝と紹介されるようになってきたようですが)という話。教科書に載っていた肖像画から人物像をイメージしていただけに、それなりにショックだったことを覚えています。
歴史は過去ものであり、ましては時の為政者によって書かれている部分が多いだけに、一概に今の歴史的常識がその通りかといえば、大河ドラマや歴史小説のように一つの視点からこうじゃない?と想像するのが正しい見方かとも思うのですが、為政者や権力者の観点からではなく、市井の人々からみた歴史的事実(古文書等の文献等)が今までの常識を覆すような発見につながる可能性もあります。
磯田先生はそういう意味で新進気鋭の歴史学者であり、武士の家計簿や無私の日本人といった著作でも明らかなように、その時代の日常から得られた事実の積み上げによって新たな日本人及び日本国の歴史を語ろうとしているのではないかと思っています。
歴史は多面的に捉えることが重要だと思う私としては、今後も更なる活躍を期待したい学者先生だと思っています。

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